居酒屋の開業前に必見!居酒屋の過去と現在と未来を考える

居酒屋に人を集めるために、一番重要なポイントは、居酒屋の過去と今と未来を考えるデザインです。なぜなら、自分の業態のことを一番知らないといけないからです。

人を集めるための居酒屋の設計を考えるうえで大切なポイントは

①居酒屋の歴史を知ること
②今ある居酒屋の種類を知ること
③うまくいっている居酒屋の特徴を知ること

です。これを実現する方法として5つあります。

①居酒屋に関する統計データを把握
②今の人気な居酒屋を体験する
③売れると思うコンセプトを貫く
④料理、空間、サービス、立地、価格において検証をする
改善ができる状態でスタートさせる

上記のポイント、デザインパターンを活用することで、筆者が実際に設計する店舗では実行しています。重要なポイントとして、ぜひ覚えておきましょう。


上記のポイントを一つ一つ細かく解説していきます。

居酒屋業態トレンドについて知ろう

居酒屋業界の売上規模の推移

飲食業界全体では上昇傾向に対して、居酒屋業界は横ばいになっています。飲食手業界の売上ランキングを見ても、ファーストフード、ファミレスが飲食店全体を引き上げている傾向はあります。

2018年-2019年の飲食業界の業界規模(主要対象企業110社の売上高の合計)は5兆5,159億円です。他業界と比べて136業界の中で46位と比較的小さい規模ですが、食という3大欲求の一つをにない、楽しみの一つとして今後も残る産業です。

飲食業界周辺のライフスタイル変化

居酒屋は飲みに行くスタイルから食事主体に変化しています。

飲食業界の運営におけるが抱える次の4つです。

  • 深刻な人手不足
  • 人件費上昇
  • 物流費上昇
  • 仕入れ食材費上昇

集客面では、次の5つの現象が起こっています。

  • 若者のアルコール離れ
  • 会社の飲み会減少
  • 個別での食事
  • 家飲み増加
  • 中食産業(コンビニ、スーパー)の居酒屋メニュー増加

そこで一人客用のボックス席を設けた店舗、ファミレスでのちょい飲み、デリバリーの増加(特にコロナの影響で今後は増加)が増えています。その影響を受け苦戦が続き、新業態への転換が必須となってきています。

また、ショッピングセンターなどにあるフードコート内は「重食化」が進み、デパート内ではアパレルや物販系のEC化が進み、今後は飲食比率を上げるかもしれません。(建築的なインフラ問題はありますが、、、)

カフェ業界は出店が盛んで、大手のフルサービス業態の店舗では郊外などの空白地へ出店しています。

海外への出店も増えています。中国、タイ、マレーシアなどの東南アジア、メキシコでも開拓。

今後は求められるサービスの本質を考え直し、人が出来ることと機械やロボット、AIが出来ることを判別することが必要となります。

居酒屋経営失敗しないために

倒産、廃業率を見てみよう

日本全業種の倒産件数の推移を見てみましょう。2016年まで倒産数が減り、横ばいになっています。経済的に安定したことを示しています。2020年のコロナショックにより、倒産数は上昇予想となりますが。

一方飲食業界の倒産推移をみますと、2016年まで減っていましたが、ここ最近上昇傾向にあります。特に居酒屋業態(表の酒屋ビアホール)2019年に増加しています。

経済産業省が発表している都道府県別の飲食店数順位は以下の通り。

東京都 80,342
大阪府 51,230
愛知県 37,978
神奈川県 33,908
兵庫県 28,392
北海道 28,392

その上での都道府県別廃業数は、東京、北海道が上位を占めています。(データはちょっと古いですが、、、)

なぜ、廃業するのか?

廃業理由はそれぞれですが、大きく分けて共通点はあります。

  • 自分の視点しか無く、リサーチ不足
  • 働きにくい環境により、人材不足に
  • 取引先の検討していなく、FLコスト増大

開業前にどれだけ検討して、ビジネスモデル、事業計画作成したかによります。

開業前に未検討?!オープン後に慌てて改善失敗

開業前が一番時間があります。開業準備を進めれば進めるほど、やることがドンドン増えていきます。実は物件探しや資金調達、内装打合せ、流通などの取引先、人材探しなどを始める前が、実はとても重要な時間なのです。何もない紙とペンにに向かって、一人で考えるのは確かに進まなく、苦しい時間かもしれません。しかし、この考える行為こそが開業後に役立つのです。

これからの居酒屋業態開発のポイント

コンセプトは大切っていわれても、、、

「コンセプトは大切!」と言われても、「具体的にはどのように決めるの?」と思う人はが多いはずです。居酒屋業態のコンセプト作りの考え方を話していきます。

居酒屋はそもそも和食の飲み屋が基本ベースにあります。それをまずは忘れずに念頭においた上で、自分らしい新たな居酒屋を作って行けば良いのです。

「なんのためにお店を開業するのですか?」

理由は人それぞれです。

「今まで居酒屋で働いていて、その経験値とノウハウがあるから!」
「居酒屋で友達も来てもらえるお店を持ちたいから」
「居酒屋で飲み食いが大好きだから!」
「飲食店経営ノウハウがあるので、店舗展開していきたい!」
「自分で料理した和食がもっと気軽に食べてもらいたいから」

とてもここがきっかけでもあり、今後いろんな情報が入り、方向性を見失うことが多々あります。そんなとき、

「そもそもなんで開業したんだっけ?」

と自問自答し、開業する前のことを思い出す必要があります。

「どんなお店にしたいのですか?」

「お客様のために!お客様視点が重要!」と言われても、そもそも自分がやりたいから開業したはずです。まずは自分がどのようなお店にしたいのかを考える必要があります。

「自分が作ったおつまみを美味しそうに食べるお客様をみたいから」
「あそこの居酒屋コスパ良いから行こうよ!と言われたいから」
「地元の人が常連さんになって、毎日に楽しくお話したいから」
「メディアでB級グルメとして取り上げられるお店にしたい!」

このように自分のお店が理想に近づいているイメージをします。

「お客様にどんな価値をあたえるのか?」

「他店との差別化しなきゃ!」とよく言われています。確かに必要なことなのですが、他がやっていなことを見つけるのは至難の業です。初めてやることでなくても構いません。自分が得意とすることから考えることが大切です。

「お魚の仕入れは、とてもいい知り合いがいる」
「煮物なら美味しいものが作れる!」
「お客様とすぐに仲良く話せますよ」
「センスよくインテリアを飾れます!」

まずは、自分が楽しく出来ることを中心に3つは出すようにしましょう!その得意な順位を理解しておきます。

業態の考え方

ランチを食べに行くとき、居酒屋いこう!とはなりません。競合はすべての業態になります。夜の場合も同様の傾向はありますが、次の2点で決める傾向があります。

「何を食べたいか?」

今日はイタリアンかな~と気分的なもの、胃がもたれてるからと年齢的なものもあります。好みや連続して食べたくないという欲求から来ています。

「誰と何のために行くか?」

彼女とデートだから、家族で子供が小さいから、友達に相談したいから、同僚とぐちを言いたいから、、、

シーンによって食べる業態を選んでします。みんなで食べるお好み焼きや焼肉、オシャレにイタリアンやフレンチ、気晴らしに同僚と居酒屋へなど、、、

ターゲットをペルソナに

アルコールを飲む人が減っているとしても、全くいなくなりません。アルコール飲めなくても居酒屋の雰囲気や料理が好きな人は一定数存在ます。居酒屋に来るお客様は、

  • アルコールを飲む人も飲まない人も関係なく、話ながら食事することが好きな人
  • 一人で店員さんと呑みながら、一人で気晴らしをしたい人
  • 和食が好きで、刺し身や唐揚げ、煮付けなどの家庭料理の懐かしさを求めている人

など、今までの居酒屋が好きそうな人、これからの居酒屋を利用しそうな人、あなたがやろうとしている居酒屋業態にあっている人をイメージしながら決めていきます。

客単価設定

1カ月の生活でお金をどのように使っているのでしょうか?あくまで平均値ですので、東京は高め地方は安めとなります。(家計調査報告2019年総務省統計局調べ)

来店されるお客様層の収入や外食で使う金額は、人それぞれコストイメージがあります。二人以上世帯で外食に使うのは平均14700。家族2人+子供1人で2回なら7350/回ということになります。大人2925×2名に750×2名の小さな子供で食べるイメージでしょうか。もしくは毎週日曜日行くなら月に4回食事で3675/回になります。こうなるとランチや食事メインとなるはずです。

立地戦略~この地域周辺で求められる居酒屋は?

グーグルマップで調べられることは、どんなことでしょうか?

グーグルマップで街全体を見てみよう

グーグルマップで3Dにして、俯瞰で街を見てみましょう!どこに商業があって、住宅地があって、学校があるか?ショッピングモールがあるか?役所があるか?など生活で使う主要な施設はチェックしておきましょう。

例えば、駅と住宅地の途中に物件があったとしましょう。住宅地ゾーンは広く商業を囲っていますので、その中でもどのゾーンが物件の前を通るか?を把握するためには、グーグルマップで駅までの経路を検索しておきましょう。そうすれば、その物件を通る住宅地の範囲がわかるはずです。

ストリートビューで物件周辺の雰囲気を見る

物件周辺を見ることがとても大切です。隣に何があるのか?真向かいは何屋なのか?など大切なポイントはたくさんあります。見るコツは、人がどのように歩いているかを擬似的に体験していくことです。

  • 駅から降りて、もしその物件を目にするとしたら、どのようなルートで家に変えるだろうか?会社に行くだろうか?
  • 会社から家に帰るとき物件の通りを歩くとしたら、どのように歩いているだろうか?
  • 友人と駅で待ち合わせして、商店街をウィンドウショッピングして見つけるとしたら、どういうルートで歩くか?

など、ターゲットとした客層が取る行動を考えながら、ストリートビューで歩いて見ましょう。そうすると、その立地のメリット・デメリットが浮き彫りになるはずです。

実際歩いてわかること

  • どんな人が歩いているのか?

歩いている人はどんな人か?をイメージします。

  • 属性は?

サラリーマン、主婦、家族、学生、子供など

  • 年齢層は?

お年寄り多い、学生多いなど

  • 男女比はどのくらいか?

男女どちらが好む街なのかがわかります。

  • 買い物袋は持っているか?

中食が多い地区かどうかがわかります。

  • 自転車は多いか?

自転車が多ければ、商圏が徒歩より広がります。逆に徒歩しかいない街は、基本駅から近い範囲をターゲットとします。

  • コンビニの雑誌コーナー

最近ではイートインコーナーに変わってきていますが、街によって置かれる雑誌の種類は異なります。年齢層、男女、興味を持っている属性をイメージできます。

  • 競合店調査

周辺にどのような業態のお店があるのかを調べます。また、昼と夜どのくらいお客様が入っているかを見て回ります。同じような業態のお店がないか?どんな雰囲気のお店が多いのか?今後、お店づくりの差別化する際に活かしていまします。

好きそうなメニューは何か?

居酒屋行く人で、何をみなが頼んでいるのか?人気メニューを把握しておきます。ネットで調べ、人気店で食べているものを調べます。そこに自分の持っているレシピやネットワーク、知識を活かしてメニューづくりをします。

お客様が頼んでいるシーンをイメージしながら、事例を上げていくことが大切です。

  • ターゲットとしているお客様は何を食べそうですか?

「新鮮な魚が食べたい!」水槽に魚をディスプレイし、そのままお刺身に。

  • どのような順序で、何品頼みそうですか?

「おつまみ食べながら飲みたい。」一品料理の小皿を中心に(2名想定)

一品料理の小皿を3

お刺身、焼き物などメインを2

おつまみ1

「頼むのが面倒だけど色々楽しみたい」一つのさらに複数の一品料理を一口サイズに提供

お通しで一皿で3つの一口小料理

汁物

サラダ

煮物や焼き物

メインの刺盛り

デザート

どんなサービスが好まれるのか?

どんな人が来て、どんな料理を食べられるか?が決まれば、どのような接客をすれば喜んでもらえるのかが見えてくるはずです。ここでは、顧客→メニュー→サービスの順でお話してますが、この順序はどれが先でも後でも構いません。

  • 市場のように賑わいあるお店を目指すなら、スタッフも大きな声でやり取りする対面接客
  • 思い出に残る演出をするレストランであれば、控えめなBGMとアイコンタクトによる接客

あなたが目指すお店にマッチした接客サービスをします。

居酒屋空間の好みは人それぞれ。後はストーリーをどのくらいイメージさせるか?

ターゲット、メニュー、サービスが決まっていれば、そこに合う箱を容易すればいいだけです。これは明確であればあるほど、世界観が誰にでも伝わりやすい雰囲気になります。ここで、もう一つストーリーを入れることで、分かりやすいテイストを創ることが出来ます。

  • 日本庭園を見ながら癒やされるお店。
  • 昭和の街路で飲む懐かしいお店。
  • 昔の町家で食べるお店。

など、誰もがイメージできるシーンをテーマにすることで、分かりやすいテイストとなっています。これはよりリアルに再現するとアミューズメント性が高まり、要素のみを変換して取り込めば感じられる程度になります。このバランスこどが、お客様層の範囲を決め、特徴的な差別化にも繋がり、お店の寿命にも関係してきます。

人が集まる居酒屋デザインの特徴

メニュー、サービス、空間に一貫性をもたせている

今まで説明してきた3つの項目「メニュー」「サービス」「空間」に一貫性があることです。ここで言う一貫性とは、お客様に体験してもらいたい価値を統一することです。3つの項目すべてを頑張らなくてもメリハリを付けても構いません。その代わり平均点に以上は必ずとるべきです。マイナスイメージをつけると、プラスイメージは全て吹き飛んでしまうからです。

ネットでちゃんとお店の良さを伝えているか?

お客様が来店されなければ、どんなに良いお店を作っても意味がありません。なので、ネットでちゃんとアピールしましょう!

客単価で変わる?!居酒屋3つのプランニングとオペレーション

大衆居酒屋

大衆居酒屋は人の密集度が大切です。賑わいと人と人との距離感を短くします。それによって生まれる賑わいが大衆居酒屋の特徴です。ストーリーとして分かりやすいのは、昭和居酒屋、屋台居酒屋などがそれに当たります。そのためには、テーブルの大きさを幅500550mm奥行550600mmとします。椅子の座るスペースを450550角に設定します。必ず横並びの客席配置とします。それはどんな人数でもフレキシブルに動かすからです。通路幅は500600mmを基準にもう少し狭くしても「ちょっと後ろ通りまーす!」といく場所があっても雰囲気的にはOKです。(オペレーション的には大変になりますが、、)

「後ろのお客さんに渡してくれませんか?」
「相席でもいいですか?」
「ちょっとずれてもらっていいですか?」

とお客様にオペレーションを手伝ってもらうことで、コミュニケーションを取ります。実はこれはとてもスタッフの能力が必要な難易度の高いオペレーションですので、多店舗展開する際のオペレーション計画には中々入れ込めないのです。もちろんこの雰囲気を作りながら上手く店舗展開しているお店もありますが。

コンセプト居酒屋

居酒屋の中でも魚や鶏を扱った専門的な居酒屋、オシャレな空間の居酒屋、和の伝統を重んじた居酒屋などコンセプトに特化した居酒屋があります。ここ近年その業態が多すぎるほどです。ターゲットを絞った業態で差別化するという流行りがあったからです。複数の居酒屋が集まった横丁も一気に拡がりました。

この業態でのプランニングは、テーブル600mm角、椅子のスペース600mm角、通路幅600mmという基本的なスケールで設計すべきです。そのうえで単価設定や客層から上下させていきます。

世界観を創ることが大切な業態なので、方向性をイメージ写真で統一させていきます。具体的なベンチマークできそうなお店も調査していく必要もあります。

高級居酒屋

他の業態よりも空間とサービスがとても大切な要素に入ってきます。来店されるお客様も料理の味の美味しさだけでは納得しないお客様層が多いからです。また、誕生日、デート、記念日、結婚式二次会などの思い出づくりに使われることが多いので、サービスもそれに対応しないといけません。

他のお客様との距離感、食事をしているときの向き、キッチンのシズル感を見せるかどうか、BGMの曲の選定、トイレのアメニティ、光の眩しさ、入口から席までの流れなど、注意すべき点が細部に渡り数多くあります。個室で接待の場合のオペレーションもなかなか人手も取られるので、上手くITツールを使って緩和すべきです。

人気店から学ぶ居酒屋デザインで他店と差別化

みうら

グリとニル

和ダイニング一如

まとめ

以上から実行するポイントをまとめますと、

①居酒屋に関する統計データを把握
②今の人気な居酒屋を体験する
③売れると思うコンセプトを貫く
④料理、空間、サービス、立地、価格において検証をする
改善ができる状態でスタートさせる

上記のポイント、デザインパターンを活用することで、筆者が実際に設計する店舗では実行しています。重要なポイントとして、ぜひ覚えておきましょう。

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