排水づまりと臭気は一緒
飲食店の排水がつまる原因の一つである「油」。油汚れは詰まりの原因だけでなく、悪臭や害虫発生の原因にもなります。ですので、排水づまりさえ対処できていれば、臭気もなくなるはずです。
そもそもなぜ排水管がつまるのか?
油汚れのつまり
排水管は油脂分を含んだ排水が、配管を通ることで管内に油がつきます。それが堆積していき、水の流れを遮り、詰まりを引き起こします。
ここで予備知識として、排水管にこびりつく油は管内の上側と下側のどちらにつくでしょうか?
答えは「上側です!」
それは、排水の油が管に下から溜まっていくのではなく、油が気化して水の流れていない上や側面に付着し堆積ていくのです。ですので、管内にこびりついた油汚れは、空気を伝って臭気として感じることになるわけです。
異物のつまり
シンクの配水やグレーチングから箸や生ゴミなど大きめの異物が一緒に排水されます。その異物が、管内で引っかかってしまうことで詰まってしまいます。
配管の勾配がとれていない
店舗設計中に、「厨房やトイレなどの排水がある位置」と「物件の一次側排水」が離れた場所に計画した場合に起こりやすいです。排水経路が長くなればなるほど、詰まるリスクも上がります。
そこで、排水勾配を取るために厨房の床高さを上げていきます。ここで対面カウンターとの目線の高さやオペレーション時の客席と厨房の段差が大きいなど、実部的にも影響を与えてきます。
実は、「キッチンやトイレの位置」と「厨房の床高さ」の2つの点が、排水勾配を決定づけていることを理解しなければなりません。
グリストラップの容量不足
グリストラップを毎日清掃していても、詰まってしまったり、ゴミが排水管へ流れ出てしまっている場合は、用呂不足である可能性が高いです。こちらの計算方法が一つの基準として計画します。小さな店舗ですと、厨房も小さくなり、実際計算して選定すべきグリストラップが大きく入れられないこともあるとは思います。しかし、目標値として知っておくことで、小さすぎるグリストラップを選定することもなくなりますし、たとえ小さなグリストラップを選定した場合は、一日の清掃回数を増やすことをルールづけすることも出来ます。
どの品番のグリストラップを選定すればよいのか?
今からご紹介する2つ計算式はグリストラップの選定の考え方となっています。
各メーカーカタログには見やすい表がありますので、そちらを参考にしてある程度のあたりをつけるのが良いかと思います。そのうえで、想定した大きさが計画上入らなかったり、コストオーバーしていたりした際に、本当に大丈夫なのかを計算する際に使えます。ぜひご参考にしてください。
店舗全面積に基づく算出
業種選定
流入流量の計算
Q=A・Wm×(n/n0)×(1/t)×k
Q:流入流量[ /min]、A:店舗全面積[㎡]、Wm:1㎡・1日当りの使用水量(表-1)[ /(㎡・日)]、 n:回転数(表-2)[人/(席・日)]、n0:補正回転数(表-3)[人/(席・日)]、t:1日当りの厨房使用時間(表-1)[min/日]、 k:危険率を用いて定めた時の流量の平均流量に対する倍率(表-1)[倍]
補正回転数は、表-3の値の面積の比例補正により求めることが出来ます。
阻集グリース量(㎏) Gu=A・gu×(n/n0)×iu×C2
Gu:阻集グリースの質量[kg]、A:店舗全面積[㎡]、gu:1㎡・1日当りの阻集グリースの質量(表–1)[g/(㎡・日)]、 n:回転数(表-2)[人/(席・日)]、n0:補正回転数(表-3)[人/(席・日)]、iu:阻集グリースの掃除周期(表-2)[日]、 C2:定数(=10-3)[kg/g]
堆積残さの質量(㎏)
Gb=A・gb×(n/n0)×ib×C2
Gb:堆積残さの質量[kg]、A:店舗全面積[㎡]、gb:1㎡・1日当りのたい積残さの質量(表–1)[g/(㎡・日)]、 n:回転数(表-2)[人/(席・日)]、n0:補正回転数(表-3)[人/(席・日)]、ib:堆積残さの掃除周期(表-2)[日]、 C2:定数(=10-3)[kg/g]
阻集グリース及び堆積残さの質量(㎏)
G=Gu+Gb
G:阻集グリース及び堆積残さの質量[kg]、Gu:阻集グリース及び堆積残さの質量[kg]、Gb:阻集グリースの質量[kg]
グリーストラップ形式の選定
よって流入流量と阻集グリース及び堆積残さの質量を満たすグリストラップの品番を選定します。
利用人数に基づく算出
業種選定
流入流量の計算
Q=N・Wm×(1/t)×k
Q:流入流量[ /min]、N:1日当たりの利用人数[人/日]、Wm:1㎡・1日当りの使用水量(表-4)[ /(㎡・日)]、 t:1日当りの厨房使用時間(表-4)[min/日]、k:危険率を用いて定めた時の流量の平均流量に対する倍率(表-4)[倍]
阻集グリース量(㎏)
Gu=N・gu×iu×C2
Gu:阻集グリースの質量[kg]、N:1日当たりの利用人数[人/日]、 gu:利用人数1人当りの阻集グリースの質量(表–1)[g/人]、iu:阻集グリースの掃除周期(表-4)[日]、 C2:定数(=10-3)[kg/g]
堆積残さの質量(㎏)
Gb=N・gb×ib×C2
Gb:堆積残さの質量[kg]、N:1日当たりの利用人数[人/日]、 gb:利用人数1人当りのたい積残さの質量(表–1)[g/人]、ib:堆積残さの掃除周期(表-4)[日]、 C2:定数(=10-3)[kg/g]
阻集グリース及び堆積残さの質量(㎏)
G=Gu+Gb
G:阻集グリース及び堆積残さの質量[kg]、Gu:阻集グリース及び堆積残さの質量[kg]、Gb:阻集グリースの質量[kg]
グリーストラップ形式の選定
よって流入流量と阻集グリース及び堆積残さの質量を満たすグリストラップの品番を選定します。
排水づまりの予防から対処方法までの4つの項目
排水づまりがおきる前の予防と、置きてしまった後の対処は、次の4つの項目が全てとなります。
- 油や異物を極力流さないように心がける!
- グリストラップを清掃する!
- パイプクリーナーで油を取り除く!
- 高圧洗浄は、プロの業者に任せる!
それでは一つずつ見てみましょう。
「油や異物を極力流さないように心がける!」っていわれても、、、
普段からスタッフ含めて気をつけていれば良いことです。シンクの排水部分に網をかけたり、詰まりそうな大きなものを見つけたら捨てるといったことで、解決する場合が多いです。
そう入っても、飲食店は常に忙しく、そんなことに気づけない場合もあります。そこで予防線をはっておくことで、対応することが出来ます。
異物が混入するシーンを想像してみることが大切です。
- シンクの洗い物の時に
- 床に落ちたゴミがそのままグレーチングから排水へ
などシーンある程度そうてできるはずです。そこへの対応を事前にしておくだけで、異物の排水づまりの心配は消えていきます。
「グリストラップを清掃する!」→「ちゃんとやってます!」という人も、、、
「こまめに清掃する」ということを長く実践するのはなかなか難しいもの。グリーストラップの清掃はそれほど楽な作業ではありません。臭いし汚いのでやりたくない!という意識は出てきてもおかしくありません。
そこでルール化を考えてみましょう!
次の3つの箇所をこまめに清掃すれば、排水づまりまで行くことは少なくなります。
- バスケットのゴミを捨てる
- 油脂を除去
- トラップ管の清掃
この3つの項目の清掃の時間軸を決めていきます。例えば、
- バスケットのゴミを捨てるのは、閉店後の毎日
- 油脂を除去も閉店後の毎日
- トラップ管の清掃は毎週月曜日
そして、ホールスタッフの当番制と決めた上で、実行した際には実行済みのチェックをしていきます。
このように店舗ごとにルールを決めておきましょう!
パイプクリーナーって知ってますか?
業務用の排水づまり解消のためパイプクリーナー「ピーピースルー」シリーズがおすすめです。
油脂分の付着物に細菌、真菌、原虫などの微生物が増殖し、発酵することにより悪臭が発生します。そしてこの付着物は細菌の増殖にともなって細菌が分泌した粘液が皮膜なります。ピーピースルーおよびピーピースルーKはこの悪臭のもとである細菌スライムを完全に溶解除去すると同時に、これらの微生物を死滅させ、除菌と消毒・洗浄を行います。
最終手段の高圧洗浄は、プロの業者に任せましょう!
高圧洗浄はホームセンターやネットでも販売しています。その中でも一般家庭用の高圧洗浄機は安価に購入することも可能なのですが、水圧が弱く、固着した油脂汚れを落とせない場合があります。飲食店の厨房で詰まった際には、プロの業者を呼んだほうが確実です。