パン屋、ケーキ屋、惣菜屋などの食品物販店は、飲食店と物販店のノウハウの両立すること

パン屋、ケーキ屋、惣菜屋は飲食店ではなく、基本テイクアウトがメイン

パン屋やケーキ屋、惣菜屋は、飲食をメインにするところではなく、テイクアウトをメインとしています。そのため飲食店のように客席の雰囲気を重視するより、販売コーナーの什器デザインの方が大切なデザインポイントとなります。

コロナ後はテイクアウトに力を入れている飲食店が多くなってきましたが、食品物販店の要素が必要になってきたのかもしれません。

飲食店との違いは何か?

商品を陳列し、販売する必要がある

飲食店とは異なり、集客の方法が大きく異なります。パン屋やケーキ屋、惣菜店などでは、商品を美味しそうに見せることが重要になります。ネットの普及で目的店が増えてきている飲食店と比べて、まだ街を歩いていて美味しそう!と思わせられるかが、集客ポイントになっています。

また、商品を選ぶ際に人の渋滞のストレスを感じさせないために、お客様が選びながら会計までスムーズに行ける導線計画をメインに店舗設計を行う必要があります。

この2つのポイントが、飲食店とは大きく異なることになります。

厨房が2つになる?!

イートインを行う場合は、パンなどを製造する厨房と、飲食を調理する厨房があると判断されます。よって、厨房が2つできることになります。もちろんプランによって、ひとつの場合もあります。

例えば、調理する厨房はひとまとめに出来ても、ドリンクを作るところが、レジカウンターのところにある場合は、その場所が飲食店の厨房ということになります。よって、厨房が2つになることがほとんどなのです。

厨房を完全区画しなければならない

菓子製造業となりますので、厨房を完全に区画しなくてはいけません。これは衛生面で、保健所より指摘があるからです。これが飲食店とか異なりポイントです。飲食店ではライブ感を見せるために、オープンキッチンがあります。しかし、焼鳥惣菜店ではガラス窓や壁で区画していなければなりません。そのため オペレーションがやりにくくなる傾向があり、引戸や脱着式の扉などで、空間を一体化したりする店舗設計が多く見られます。

菓子製造許可と飲食店営業許可

保健所への申請も飲食店とは異なります。ケーキだけの販売でイートインがなければ、菓子製造許可だけの申請で良いのです。しかし、イートインがあれば、そこは飲食店ですので、飲食営業許可が必要になってきます。

ちなみに、パンを仕入れて販売するだけであれば、製造していませんので、菓子製造業許可が要らないこともあります。各地域の保健所に事前に確認しておくことをオススメします。

サンドイッチやお弁当の販売は、なぜか飲食店営業許可と言われていますが、実際のところ菓子製造許可も取ることを求められることがあるので、この2つの許可はとても曖昧です。

またサンドイッチを仕入れてそのまま出すときには、食料品等販売業の許可が必要になります。これは東京都での内容ですので、他の都道府県では異なります。

実は色々ある許可関係

このように、営業する上での許可は、一概に判断できません。ケーキ屋、惣菜店、パン屋などの内装工事では、上記の範囲の知識で、なんとかなることが多いのですが、実は許可申請は数多くあります。

ですので、まずはあなたがやりたい店舗の内容を保健所に確認することがベストです。

業種

営業形態と取扱品目の事例

飲食店営業

客席のある一般的な飲食させるお店・仕出し店、弁当店・たこ焼き、焼き鳥等の持ち帰り店・スーパーのように惣菜を製造し、その場で対面販売するお店・地方物産店などのように、ちらし寿司、弁当、おにぎり、サンドイッチ、調理パンを販売するお店

喫茶店営業

アルコール以外の飲み物だけを客席で飲ませるお店

そうざい製造業

ゆずみそ、煮物、あえ物、焼き物、酢の物、揚げ物、蒸し物、きんぴら、餃子などおかずとして食されるもの製造する店舗

菓子製造業

和菓子、洋菓子の製造するお店

酒類製造業

酒,果実酒,本みりんの製造するお店

醤油製造業

しょうゆの製造するお店

清涼飲料水製造業

ジュース、豆乳、甘酒(沈殿物が30%以下)の製造するお店

ソース類造業

ソース、焼肉のたれ、トマトケチャップ、マヨネーズの製造するお店

豆腐製造業

豆腐の製造するお店

みそ製造業

みその製造のお店。ただし、そうざい製造業の許可が必要なこともあります。

めん類製造業

生めん、ゆでめん、乾めんなどのめん類の製造するお店

缶詰瓶詰食品製造業

缶詰又は瓶詰にしためんつゆ,ドレッシング,ゆず酢などの製造するお店。ただし、プラスチック容器の場合は許可不要

食肉製品製造業

ハム,ソーセージ,食肉を50%以上使用した肉だんごの製造のお店

魚肉ねり製品製造業

かまぼこ,ちくわ,魚練り天ぷら,魚肉ソーセージの製造の製造のお店

食品の冷凍又は冷蔵業

冷凍食品の製造あるいは小分け,食品の冷凍冷蔵保管するお店

アイスクリーム類製造業

アイスクリーム類,氷菓,ソフトクリーム(押し出し式は除く)の製造のお店

食肉販売業

生の食肉、冷凍食肉の販売のお店

魚介類販売業

鮮魚介類の販売のお店

乳類販売業

牛乳,山羊乳,乳飲料の販売のお店

許可不要

白餅、へぎ餅,漬物,梅干,キムチ,もろみ,干し芋(砂糖などで調味をしていないもの)、干し柿。こんにゃく、ポップコーン、わたがし、パットライス、焼き芋、焼きトウモロコシ、焼き栗の製造販売しているお店

物販店との違いは何か?

 

食をあつかう空間演出が必要

アパレルや物販店では、様々な色の商品が並ぶため、色を忠実に見せるために4000Kといった白色を中心とした照明計画をしています。日比谷ミッドタウンの物販など最近完成し始めているデパートなどでは、コンセプトや世界観を重視しているために、異なってきてはいますが、従来の百貨店の物販店やアパレルでは、同じ手法が一般的です。

しかし、食事を見せる光は、飲食店やスーパーでの照明計画が必要です。2700K以下を中心として、赤みの魚や肉、トマトなどの赤色のための照明や、野菜などの緑色の照明など照明器具を採用することもあります。

設備計画がまったく異なる

物販店では、給排気設備、給排水設備の設備計画がまったくありません。しかし、食品物販店では飲食店と同様に必要になってきます。更に、オーブンなど電気容量やガス容量を大きな厨房設備も多いため、電気容量やガス容量の確認もしなくてはいけません。

店舗デザインで必要な知識

手に取りたくなる什器デザイン

手にとりやすい高さという一般的な高さはあります。冷蔵ショーケースであれば、みなさんのイメージ通りのものが多く販売されています。しかし、最近ではそれに固執せずランダム配置したお店も多く出てきています。特に内装工事でオリジナルで制作しやすい什器は、自由に設計できるからです。

しかし基本的な考え方は共通です。色と視線がポイントです。

色は誘目性の高い色を配置する所に目は向きやすいですし、白と黒のようにコントラストがあるところや対比効果(補色の関係など)のある所に目が向きます。更に光があたっている所に目は向かいやすいのが一番あります。

また、人の目の高さよりも低い位置に置くほうが、商品は発見されやすいこともあります。

このように色と視線を意識した什器デザインにすることが、販売に繋がりやすくなります。

そこで食べたくなる空間デザイン

基本的にはテイクアウトで、販売して退店していただくのが効率良い考え方です。

「もっとゆっくりくつろいで、行ってもらいたい」

というオーナーの想いもあることがあります。その時は、ちょっと寄りたくなる、座りたくなる席を用意しておくことです。

公園のベンチみたいなものを用意することで、街の人が気軽に座っていきます。「ついでにパンも食べちゃう」といった感じがベストです。

何が言いたいのかといいますと、あっちは食べるところで、こっちは買うところ!といった空間を分割しないことが、利用しやすい空間デザインとなります。

厨房導線と同時にお客様導線をデザイン

「パンの出来たてを見せたい!」「オーブンを見せたい!」

一番多い要望です。そして、これは絶対やるべきことでもあります。しかし、ただ見せるだけではいけません。お客様が入った瞬間や選んでいる最中、並んでいる時に見せる必要があります。その見せ方もガラス越しにキレイに見せたり、こねているシーンを見せたりすることで、より購買意欲をそそります。

しかしその裏側では、お客様導線と厨房導線の内装設計がとても重要になっています。

お客様とスタッフ導線の交錯はよく聞かれると思いますが、販売している什器からレジへの流れに沿って、厨房の製造から陳列される流れも作るのです。これがバラバラですと、見せることも出来ませんし、スタッフ側は使いづらくてたまりません。実は素敵な内装デザインの裏側には、導線設計が必ず隠れているのです。

参考にしよう!実例紹介

トーチドットベーカリー

鳥庄

ふくふく

PINO

サンカントサンク

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