天井高さは空間にも集客にも影響を与えている
空間に大きな影響を与える天井高さ
空間デザインにおける天井高さは、とても大きな影響を与えています。天井が高ければ、人は平面的な面積以上に空間の広さを感じることが出来ます。気持ちも開放的な印象を持つはずです。逆に天井高さが低ければ、空間に圧迫感を与え、狭い印象を与えますが、プライベート感や日本の茶室のように人と人との距離感を縮める効果もあります。このように天井高さは、空間にとってとても影響力があるのです。
天井高さは飲食店にも影響を与える?!
飲食店にとっても、天井高さは大きな影響を与えます。天井の低い個室でカップル席や会食の場を提供し、特別感を与えたり、天井の高い高級レストランの雰囲気を作ったします。
また、人の流れに影響をあたえますので、飲食店では回転率に影響を与えます。
天井高さは抽象的思考、低い天井は細部を掘り下げる「カテドラル効果」
カテドラル効果とは?
カテドラル効果とは、高い天井は抽象的思考を活性化し、低い天井は細部を掘り下げる思考を活性化する効果のことを言います。天井の高さを認識されない場合は、効果がないと言われています。
天井が高い時におきる効果は、プライミング効果
プライミング効果とは、記憶の中にある特定の概念を活性化させ、それに続く思考や行動に影響を与える手法のことを言います。例えば、広い空や大きな樹木に慣れ親しんだ過去の気分が、無意識的に呼び起こされたりします。それが、天井が高いと開放的であったり、その色やデザインも連想させたりします。
天井高さを意識させる空間構成の作り方
天井高さが認識されない空間デザインとは?
- 同じ高さで均一的
- 同じ色で仕上げている
- 間接照明、ペンダントライトなどの光が、天井にあたっていない
- スケルトンで真っ黒に塗りつぶしている
このようなときには、天井がそもそも見られない環境にあります。
どのような時に天井が意識されるのか?
- 暗い空間から明るい空間に出た時
- 狭い空間から広い空間に移動した時
- 庇のような低い天井と高い天井の高低差がある時
- 間接照明で折り上げ天井がある時
- 天井の色彩が変わっている時
このような時に人は天井を意識します。そうするとカテドラル効果も出てきます。
飲食店の空間デザインではどのように活用するのか?
飲食店の仕事場利用
カフェ、ラウンジ、割烹、バーなど様々な飲食店で、仕事の会話がされる場として利用されています。それはカジュアルな気軽なミーティングから経営的なフォーマルなミーティングまで様々です。
そこでは、創造性が必要なアイディア出しの場合は、天井高さが高い開放空間が適しています。また、一人で籠もっての作業や集中する場合は、天井高さが低いプライベート感がある空間が適しています。
外部と内部を創り出す。
庇のように低い天井と、明るい高い天井を創ることで、擬似的に内部と外部の意識付けが出来る空間構成にも使われます。
アプローチで感動を!
真っ暗で狭い通路を通って、一気に大きなで明るい空間を用意することで、インパクトある印象的な空間デザインとなります。この際も天井の高低差と合わせて、光の明るさも含めたギャップ感を利用します。空間の広さの認識を、実空間以上にする効果が見込めます。
回転率を上げる!
天井の低い空間は、実務的な作業や効率的な動きに適しているため、ファーストフードやラーメン屋のような居心地より食べると言う行為に重点を置いている飲食店に適しています。要するに空間の心地より回転率を優先する場合に利用できる空間デザインです。
天井高さによる物件状況の問題解決方法
天井高さが低い物件を高く見せるには?
物件状況で天井高さが低い物件は数多くあります。そこを如何にして高く見せるかは、デザインのテクニックを利用する必要が出てきます。アイデア事例としていくつか上げてみます。
- 天窓に見せるため、アクリル乳白で内部から光を照らす
- 壁と天井の接点の天井側にミラーを設置し、吹き抜け空間としてみせる
- ルーバーを連続してみせるようにミラーを壁に設置する
この他にもありますが、光やミラーを使い、擬似的に見せていく方法で開放感を与えていきます。
低い天井を有効活用するには?
低い天井を利用したデザインアイデアの例をいくつか挙げていきます。
- にじり口のようにドア自体を低く設定することで、特別空間としてみせる
- あえてより低い天井を作り、プライベート感や隠れ家感の雰囲気を出していく
天井高さを効率的に利用する
- ロフトにすることで席数を増やす
- 小上がりとして特別感を出す
- 床を上げることで、床下収納を多くとる
まとめ
天井高さを効果的に利用していくには、
1.天井を意識させるかどうかで決まる
2.滞在時間に影響を与えている
3.創造性と集中力に影響を与えている
この3つの天井高さの空間や集客の効果を理解することで、業態にあった効果を生む空間デザインをすることができます。