ただ席数を増やしても売上は上がらない?!満席率80%のプランとは?

今日は客席数より満席率をあげる方が売上UPにつながるプランをしましょう!というお話しです。1人でも2人でも4人でも8人でもフレキシブルに受け入れられる店舗の方が、お客様を断らなくていいですよね?

売上をあげるポイントは、満席率80%になるプランを作り上げることです。

これを実現する方法として

1.席数より組数を意識する
2.横並びのテーブル席を作る
3.利用シーンに合わせた種類の席を作る

という3つの方法があります。

上記のポイントでプランニングすることで、筆者が実際に作った店舗では、売上を伸ばしています。重要なポイントとして、ぜひ覚えておきましょう。


上記のポイントを一つ一つ細かく解説していきます。

満席率80%のプランの作り方です。

なぜ、席数増やしても売上が上がらないのか? 

ターゲットにあっていない席レイアウト 

お店業態や雰囲気により来客のグループ人数が異なります。例えばラーメン屋なら1人客、ファミレスなら4~6人などひ1組あたりの人数割合が異なります。 

1~2人/組が多い店舗に、4人席が沢山あっても効率が悪くなってしまいます。 

また、宴会や結婚式の2次会など大人数を何人まで対応するかも重要です。オフィス立地で10~18名までの宴会予約が入っても8名席までしかなければ、対応出来ません。 

このようなことにならない為に、まずはあなたのやろうとしている業態や立地環境から何名利用がどのくらいの割合が必要なのか?を想定する必要があります。 

結局使えない席は意味がない! 

「とりあえずたくさん席数をとってください!」こんな考えで設計依頼をすると失敗します。

席同士の間隔や料理提供のスペース、入口付近に強引に置かれた席は、オープン後に必ず使えなくなります。例え使えたとしても「隣の人との距離が気になる」「この店狭くて落ち着かない」「入口付近の席は寒いし、人通りも気になる」などのクレームとなり、二度とその店には来ません。 

逆に賑わいを作る為や安く屋台のようなコンセプトであれば問題ありません。しかし、そういったコンセプトがない飲食店では、気をつけなければなりません。 

売上=客単価×席数×満席率×回転数 

飲食店の事業計画をたてる際に売上計算をします。 

売上=客席×満席率×回転数×客単価 

とてもシンプルです。これを平日と週末と客入りが異なる曜日に分けて計算をします。 

売上は席数と満席率と客単価、回転数の4つ要素の増減で決まるということです。 それらがいろんな要素と関係しているのです。

  1. 客単価はターゲットと料理、サービス、空間、立地など総合的に判断する必要があります。(コンセプトに関係) 
  2. 席数は物件な大きさにより決まります。(物件探しに関係) 
  3. 満席率はプランによって変わります。(設計に関係) 
  4. 回転数はテーブル数すべてが埋まった状態を満席とします。それを1回転として、1日で何回転するのか?を予想します。(集客力に関係) 

このことを念頭にコンセプトや物件探し、プランの打合せを進めることが重要となります。 

そもそも満席率とは?

お店で満席になっても、すべての椅子にお客様が座っているわけではありません。例えば、30席あるお店で満席になったときに21席埋まっていれば、

21席÷30席=0.7(70%)

の満席率となります。ようするに、4人テーブルに2人を案内すると、50%の満席率となり無駄な席が出てきてしまいます。そこで売上を上げるには、満席率を高める必要が出てくるのです。

売上の上がりやすいプランを知ろう! 

席タイプを知ろう

人数応じて大きく分けて下記のような席タイプがあります。 

1~2名 カウンター席、オープンキッチンカウンターなど

1~2名 大テーブル

2~8名 個室席

3〜4名 テーブル席

3~6名 ボックス席

2~10数名 横並びのテーブル席 

何名利用でも対応できる席 

横並びののテーブル席を2名テーブルに分けることで、何名でも対応できる席になります。 

テーブルを離したり、つけたりして、2名や4名席に手軽に変更できます。全てのテーブルをつけると10人以上の宴会も可能となります。 

さらに片側をベンチソファにすることで、混んできたときに詰めて座ることが出来ます。 

ソファ席には荷物も置くことが出来るので、お店側のオペレーションとしては使い勝手が良い席となります。 

横並びのテーブル席は満席率を向上させます。

ターゲットに合わせた席も必要 

満席率だけにこだわって、横並びのテーブル席を増やしてもお店としての魅力は落ちる場合があります。 

例えば、接待客の需要が見込めるお店では、個室や半個室といった視線や話し声を遮断する席も必要です。 

また、子供が多い住宅立地では、座敷やボックス席のように周りの目を気にしない席も必要です。時にはキッズルームを用意して集客につなげているお店もあります。 

こういったようにお店のコンセプトにあった席を用意することで、より集客力が上がり売上につながります。 

全体の席タイプのバランスをみよう 

例えば、1人客が多い24席ある居酒屋の場合 

1人客 50%2~4人客 30%、5人以上の団体客 20% とします。 

その場合、カウンター席は8~12席、横並びのテーブル席10席以上で団体10名様を取れるように計画します。また、個室が必要な場合は6名程度に抑えて計画をスタートします。 

このようにお店の状況を踏まえた計画にすることで、より売上が上がりやすいプランへとなっていきます。

席数が入りやすい物件の見つけ方 

この物件は何席入るのか?ざっくり計算法 

飲食店デザイン研究所では、1坪あたり1.5席で換算するのが小さなお店での最適な算出係数です。 

例えば、20坪×1.5席=30席となります。 

この計算方法は10~30坪の物件を想定した数値ですが、小さくなれば席は確保しづらくなり、大きな物件であればあるほど席数はより取りやすくなります。これは厨房面積は大きくても小さくてもあまり変わらないからです。 

テーブルの縦横寸法が席数を決める! 

1.5席/坪の係数は、テーブルや椅子の大きさによって左右します。 

テーブルの大きさは幅600mm奥行600mm。椅子は席を立った状態で幅600mm奥行600mm。この平面寸法が1.5席/坪の係数の内訳になります。 

厨房スペックは本当に大丈夫?厨房面積比率を確認しよう。

厨房面積比率は物件全体面積の15~30%前後を目指す必要があります。それは15%のときが30坪大きめの物件で、逆に30%のときは10坪の小さめの物件取ります。 

また、厨房機器のおける数は横幅の長さで決まります。一般的な飲食店であれば、厨房を前後2列に並べるるので、厨房機器奥行600mm×2列+通路700mm+壁厚150mm×2枚=厨房全体奥行2.2mとる必要があります。例えば、20坪の物件ですと、20坪×厨房面積比率22.5%=4.5坪(14.88㎡)となります。厨房区画としましては6.76m×2.2mの厨房区画寸法が標準的となります。 

この大まかな算定式にて、全体プランを進めていきます。算定数値より大きければ、オーバースペックの可能性もあります。逆に小さければ、機能が足りない可能性もあると判断します。 

物件のベストな間口寸法 

小さな店舗での厨房はプロポーションもほぼ決まってきます。I型厨房の場合、厨房機器の奥行きが600mmが多いので、通路を700mmとります。壁厚などを考慮すると、全体で2100mmになります。そこにカウンター席と通路を追加すると、4000mmの物件幅がとても効率の良いプランができる物件プロポーションとなります。

4.実例から学ぶ席レイアウト 

リリーアン 

二つの空間に分かれる変形形状の物件です。このような場合は、二つの空間に対して検証をおこないます。 

入口側の手前空間では、横並びのテーブル席を配置し通路を確保しています。キッチン横では、奥行きが深いので二列にしてテーブル席を配置しています。こちらは床を一段上げることで、テラスのようにしています。また入口すぐの席なので、一段上げることで足元の寒さも緩和させる効果があります。 

奥の席はトイレを配置し、通路と横並びのテーブル席で、ちょうど良い寸法になります。木造ですので、途中に柱と基礎が入っていますが、足元だけなので視線は通り、気にせず席レイアウトを優先しています。

個室も検討しましたが、そもそも手前と奥の席は空間として分かれているので、個室は要らないと判断しました。

17坪と面積が小さいかつ空間がわかれている分、全体的に効率の良い席配置を優先しています。 

1.81席/坪 

1日売上想定 

32席×満席率80%×1.5回転×5000円=19.2万円/日 

月商480万円を想定したプランです。 

うな衛門 桜木町店

11坪という狭い物件では、間口の寸法が席数と満席率を大きく左右します。 

間口2.4mでのプランでの優先順位を横並びのテーブル席を第一にしました。次に通路を600mmと最小寸法とし、ベンチ後ろに演出の間接照明と横ルーバーにて奥行き感を出す選出を二番目に優先しました。そのため背もたれは、無くしています。 

残りの面積で、厨房、トイレを配置し、最後に鰻屋として接待需要を考え、個室をつくっています。 

1.76席/坪 

1日売上 

20席×1.5回転×満席率80%×6000円=14.4万円/日 

月商360万円を想定したプランです。 

くじら屋 

24坪弱の物件で、入口入った間口の寸法は2.8mと十分取れていたが、柱が出ていたので横並びのテーブル席を作っても大人数対応ができないプランとなっていまいます。そこで、あえて、そこは入り口構えとしてのディスプレイゾーンとして、ベンチソファを前へ出すことによって、18名までの団体可能な席へとしました。 

年配のファンのお客様が多くいますので、落ち着いて食べられるように半個室の席を用意しています。この席は満席率が50~75%ほどで落としてしまいますが、カウンター席とテーブル席は、1~4名対応を臨機応変に対応しやすい席にしています。ここで80%を以上の満席率をフォローしています。 

1.46席/坪 

1日売上 

35席×1.5回転×満席率70%×6000円=22万円/日 

月商550万円を想定したプランです。 

まとめ

結果として売上UPのポイントは、満席率80%になるプランということです。

これを実現するためには次の3つのポイントがあります。

1.席数より組数を意識する
2.横並びのテーブル席を作る
3.利用シーンに合わせた種類の席を作る

是非、皆さんも活用してみてください。

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