今日は潰れない店舗運営の秘訣は、お金の計画だよというお話です。なぜならプランも物件も内装もデザインもすべて資金計画で繋がっているからです。
お金の計画を考えるうえで大切なポイントは
①全体予算から物件、空間、運営を考えてみる
②物件取得費と内装工事費と運営費のバランス
です。これを実現する方法として5つあります。
①物件と賃料と内装費のバランスを決める
②売上は賃料の10倍で計画する
③客単価は、客席数と満席率、回転率で調整する
④運営費の家賃○カ月は安全率を示す
⑤物件取得費と運営費は連動する
上記のポイントや方法を活用することで、筆者が実際に作った店舗では、生存率が88%になっています。重要なポイントとして、ぜひ覚えておきましょう。
上記のポイントを一つ一つ細かく解説していきます。
末永くお店を続けるためには?
お店が潰れるときはどんなときでしょうか?
それはズバリお金がなくなったときです!まぁ、当たり前ですよね。
その原因を引き起こしているのが、固定費と融資返済の高さです。
この2つが売上低下する要因が発生したときに、資金ショートします。それを回避するために物件取得費と内装工事費と運営費のバランスを考える必要が出てくるのです。
売上が下がるときは、どんなとき?
売上が下がるときは、外部的要因と内部的要因があります。
外部的要因は社会全体の経済が下がっているときやビジネス転換し外食業界全体が下がっているときです。
内部的要因は従業員が辞めてしまってサービス力低下したり、家賃が高すぎて利益が出ない、オーナーが体調を壊したりする場合です。
なぜ、物件取得費と内装工事費と運営費のバランスが重要なのか?
固定費を抑えるには、賃料を抑えばよいですし、融資返済を抑えるには、内装費や厨房機器などのイニシャルコストを抑えればいいのです。
しかし、これらは集客力にも関係してきます。賃料が低ければ場所が悪くなり、内装や厨房機器などを抑えれば雰囲気やサービス力も落ちてきます。運営がやりにくくなり、人件費が上がってしまっては、抑えても意味がありません。ですので、バランスがとても大切なのです。
全体予算から物件、空間、運営を考えてみよう!
一度仮説で全体予算からそれぞれの投資コストを考えてみる
全体コストが2000万円だとします。まずは目標金額として、割合を想定します。物件取得費20%、内装費60%、運営費20%としてざっくり割合で考えてみます。
・物件取得費目標 20%=400万円
実際探してみた物件は?
17坪、家賃30万/月、保証金12カ月=360万円、準備期間2ヶ月分=60万円で合計420万円
・内装費目標 60%=1200万円
実際に内装設計施工及び設備工事見積もりは?
17坪×60万=1020万円、家具80万円、厨房300万円で合計1400万円
・運営費 20%=400万円
備品50万円、広告費50万円、求人50万、家賃6ヶ月分×30万=180万円で合計330万円
目標金額2000万円に対して、実行2150万円となります。150万円を落せるかを各項目調整をします。
投資回収を計算してみる。どのくらい内装が持てばいいのか?
上記より内装コストは1400万円で、2年半で投資回収を目指し、更に2年半で利益を上げていこうと考えたとします。合計5年間内装をもたせる必要があります。
17坪×1.5席=26席確保します。
26席×満席率70%×1.5回転×4400円×25日営業=300万円/月
300万円/月×利益20%(FL60%+家賃10%+その他10%)=60万円の利益となります。
内装費1400万+運営費400万=1800万円
1800万円÷利益60万=30カ月(2.5年回収)
実際はなにか予期せぬ事態に備えて、キャッシュフローを残す必要がありますので、30万支払いし、30万ストックすることが良いかと思います。ローンを5年間で組めば、ちょうど返済も終わる計算となります。
家賃比率は10%を目指す!
ここでの重要なポイントは家賃比率です。
家賃比率=家賃/月の売上=10%
家賃30万/月の売上300万円=10%となります。
物件を決める際には、この月の売上に対する利益の計算を意識しながら、物件規模や家賃を判断することが出来ます。
物件取得費と内装工事費と運営費のベストなバランスを探す
物件取得費と内装工事費と運営費のバランスは、実はお店が目指すコンセプトと関係をしてきます。
全体コストを2000万円とした場合
個店の専門料理店の場合
物件取得費:内装工事費:運営費=20:60:20=400万:1200万:400万
利便性の高いカフェの場合
物件取得費:内装工事費:運営費=35:50:15=600万:1000万:300万
・物件取得費
17坪×3万/坪=約50万(月家賃)
50万×(12カ月+2カ月)=700万円
・内装工事費
17坪×45万=765万円、家具50万円、厨房185万円で合計1000万円
・運営費
備品50万円、広告費25万円、求人25万、家賃4ヶ月分×50万=200万円で合計300万円
家賃比率から席数と客単価、回転数を決める(まずは客席数を固定とし考えます。)
家賃50万円÷家賃比率10%=売上目標500万円
17坪×1.5席/坪=26席
客単価=売上500万円/月÷(26席×満席率70%×1.5回転×25日営業)=7326円
周辺地域や商品力を見て、客単価が高いと感じたら、席数や回転率を増やすことを考えます。回転数は実行してみないと分かりませんので、基本的には席数を増やす方向で考えましょう!
17坪×1.8席/坪=30席
客単価=売上500万円/月÷(30席×満席率70%×1.5回転×25日営業)=6349円
料理やサービス力で運営するレストラン
物件取得費:内装工事費:運営費=10:80:10=200万:1600万:200万
・物件取得費
17坪×0.84万/坪=約14万(月家賃)
14万×(12カ月+2カ月)=約200万円
・内装工事費
17坪×70万=1190万円、家具110万円、厨房300万円で合計1600万円
・運営費
備品66万円、広告費25万円、求人25万、家賃6ヶ月分×14万=84万円で合計200万円
家賃比率から席数と客単価、回転数を決める(まずは客席数を固定とし考えます。)
家賃14万円÷家賃比率10%=売上目標140万円
17坪×1.3席/坪=22席
客単価=売上140万円/月÷(22席×満席率70%×1.5回転×25日営業)=2424円
この場合は家賃比率をもっと下げて、売上を上げていくことを検討すべきです。例えば、家賃比率5%とし売上目標280万円とします。
客単価=売上280万円/月÷(22席×満席率70%×1.5回転×25日営業)=4848円
利便性の高い居酒屋
物件取得費:内装工事費:運営費=50:30:20=840万:800万:340万
・物件取得費
17坪×3.5万/坪=約60万(月家賃)
60万×(12カ月+2カ月)=840万円
・内装工事費
17坪×30万=510万円、家具40万円、厨房250万円で合計800万円
・運営費
備品50万円、広告費25万円、求人25万、家賃4ヶ月分×60万=240万円で合計340万円
・家賃比率から席数と客単価、回転数を決める(まずは客席数を固定とし考えます。)
家賃60万円÷家賃比率10%=売上目標600万円
17坪×2席/坪=34席
客単価=売上600万円/月÷(34席×満席率70%×1.5回転×25日営業)=6722円
これでは単価が高すぎますので、一等地では客席数だけではなく、満席率や回転数も上げていく計画をします。
17坪×2.2席/坪=38席
客単価=売上600万円/月÷(38席×満席率80%×3回転×25日営業)=2631円
まとめ
・物件と賃料と内装費のバランスを決める
・売上は賃料の10倍で計画する
・客単価は、客席数と満席率、回転率で調整する
・運営費の家賃○カ月は安全率を示す
・物件取得費と運営費は連動する