なぜ日本では、デザインをビジネスに利用しないのか?
日本でのデザインマーケット規模の低さ
日本では、まだまだデザインがビジネス効果として高いと認識されていません。それは、店舗デザインの建築業界だけではなく、IT業界、自動車業界など、その他のジャンルも含めて、他の先進国と比べて低い水準になっています。
デザインマーケット規模を見てみますと、日本は3000億円、アメリカ2兆円(経済産業省2014年)なのです。GDPにそれほどまでの差があるわけではありません。
「ものづくりの日本」と言われたのも過去の話になってきています。時代が変わり、今までのやり方ではビジネスも通用しなくなってきています。その時にデザインは、必ずビジネスに役立つツールになります。
内装の設計は、図面、パースなどのタスクになってしまっている?!
日本の内装業界では、デザイン=図面、パース、マテリアルなどを行う業務がメインになっています。タスク(作業)に対する報酬という概念です。要するに、物づくりをベースに、力を入れてきたとも考えられます。しかし、これからはソフト面のアイデアを考えることが重要になってくる時代に入ってきています。人が集める店舗を作ることが、これから必要なデザインアイデアとなるのです。
空間作りは、施工には価値を支払っている
店舗設計施工は、デザイン事務所より業績が高いです。これは店舗づくりが、ハード面のみ提供になっているからです。空間作りは、施工に対して価値を見出しているのです。そして、デザイン事務所はハード面の手助けをしているという認識が、飲食店オーナーには強くあるのかもしれません。
店舗デザイン?設計?どんな価値があるのか?
店舗の設計とデザインで、何が違うのか?
飲食経営者の方々から、「御社は、デザインから設計までやってくれるの?」と聞かれることが、多々あります。デザイン=設計ではないのでしょうか?と思うのですが、これは内装業界の過去が作ってきたのかもしれません。
デザイン=デザイナーが店舗のイメージ、世界観を提案すること
設計=その世界観を実際の空間にするために、実施設計をすること
ソフト面とハード面を分けて考えているのかもしれません。デザイン=ソフト面、設計=ハード面というように。本当にこれを分ける必要があるのでしょうか?
店舗デザインの価値は、どこにあるのか?
飲食店では、必ずしもデザイナーにお願いする店舗ばかりではありません。むしろ、設計施工を一緒に依頼する飲食店オーナーの方が多いはずです。では、店舗デザインをわざわざ頼む価値はどこにあるのでしょうか?
人の集まる飲食店のデザインアイデアと、空間作りとしてのデザインである技術面の両方をサポートしてくれることに、価値があります。デザイナーは基本的には、オープンまでのおつきあいになります。それは内装業界の通常の考え方です。しかし、本来はオープン後からお店作りはスタートします。今後はオープン前後でのご提案ができる環境にしていくべきだと思います。
ソフト面に投資をすべき時代
通常飲食店では、ソフト面とハード面でのコスト割合は、1:9の割合で投資しています。ソフト面のコストとは、アイデア出し、計画、調査することにかける時間(人件費)です。ハード面のコストとは、内装工事、物件取得、厨房設備、備品などにかかる時間と費用です。ソフト面にコストをかけないと、世の中に出てから、企業のブランド価値を下げるような失敗に繋がりやすくなります。
飲食店の店舗デザインを依頼内容
ソフト面
顧客価値を生むアイデアだし
後に記述する「人が集まる店舗作りのデザインアイデアを見つける5つの方法」参照。
興味を持たせるデザイン計画
入りたくなる、また来たくなる、行きたくなるという3つのデザインアイデアで、店舗作りをしていきます。
ハード面
空間構成で人々を魅了するデザイン
コンセプトからデザインで人の心を躍らせる計画。空間構成を決めるプランニング。内装材のカラーバランスやライティングデザインによる演出をします。
オペレーション計画
厨房機器のレイアウトはもちろん、作業効率を考えた設計。サービス力の向上を目指します。厨房内の調理場、ドリンク場、洗い場のゾーニングや、客席と厨房との受け渡しの接点などを計画します。
人が集まる店舗作りのデザインアイデアを見つける5つの方法
これからの飲食店の店舗デザインには、ソフト面が必須です。アイデア出しは、飲食店オーナー様と一緒に見つける方が、よりリアルなアイデアになりやすくなります。飲食経営者からのうちからの視点と、デザイナーの外からの視点の両方からのアイデアが、良いお店づくりにつながります。
外食する時の不便さや不満を見つけ、解消する
あなたの業態の飲食店へ、実際に食べに行ってみましょう!お客様視点で何が見えてくるのか?お客様の悩みや不満、「もっとこうなればいいのに~」というものを探してみましょう!
今、流行っている食に乗っかる
好奇心を多く持つことにより、「今、何が流行っているのだろう?」と考えます。
あなたの出す街、首都圏、周辺地区など様々な場所で、流行になっている食を探してみましょう!
ひとつに絞り、極端な方向に走る
一番極端なアイデアを考えてみましょう!たくさんの情報や飲食業態が蔓延する中で、一つに絞ってみることも必要です。シンプルに一方向へ向かってみることを考えてみましょう!
集客できている店舗を発展させる
最も人気のある飲食店を観察し、その人気の理由を探ってみましょう!見つけたら、あなたのお店のコンセプトに置き換えて考えてみます。その人気のポイントをもっと楽しく、もっと最高に仕上げてみましょう!
素晴らしい!と思えたお店を探す
海外では人気があるのに、日本ではあまり見かけない店舗はないだろうか?東京にはあるのに、自分の街には見当たらないものは、ないだろうか?「素敵だな~」と思える飲食店を探しましょう!
まとめ
店舗デザインでは、ソフト面とハード面の両方の提案必須になっているます。デザイン事務所での提案は、ハード面に偏りがあります。ですので、次の5つのアイデアだしの方法で、ソフト面のデザインアイデアにコストをかけるべきです。
1.外食する時の不便さや不満を見つけ、解消する
2.今、流行っている食に乗っかる
3.ひとつに絞り、極端な方向へ走る
4.集客できている店舗を発展させる
5.素晴らしい!と思えたお店を探す
上記の5つの方法で、デザインアイデアを出すことで、世の中に出てから、企業のブランド価値を下げるような失敗に繋がりにくくなります。