物件情報
住所 | 〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1丁目15番4号 メゾン115 地下1階 |
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駅徒歩分 | JR山手線 恵比寿駅 徒歩3分 東急東横線 代官山駅 徒歩11分 |
周辺環境 | 商業立地 |
物件面積 | 69.96㎡(21.16坪) |
店舗面積 | 69.96㎡(21.16坪) |
厨房面積比率 | 28.46% |
竣工時期 | 2019.12 |
席数 | 38席 |
席数/坪 | 1.80 |
全体予算 | 1600〜2600万円(内装のみ) ※実際にこの物件の内装費用とは異なります。 |
想定家賃相場 | 65万円/月 |
客単価 | 3000〜4000円 |
月商(想定) | 500万 |
営業日 | 週7営業 |
キリンシティー株式会社からの依頼の経緯・依頼内容
どのように飲食店デザイン研究所を知ったか?
展示会にて店舗開発部の方とお話しさせていただき、弊社のサービス内容を評価してもらいました。毎年何度か展示会に来てくださり、新ブランドを開発中とのことで、一度お話をお伺いしました。
なぜ、飲食店デザイン研究所に依頼をしたか?
今までの設計事務所やデザイン事務所とは異なり、ブランド作りからデザインまでトータルにサポートしてくれるからです。また、飲食店に特化していて、不動産物件へのアドバイスや厨房オペレーションも含めて提案を頂からサービスが安心材料となり、依頼につながっています。
今までは、コンサルタント、デザイナー、ウェブデザイナーなど個別に依頼をかけていたのですが、最終的に出来上がる世界観の統一が出来ると思い依頼にしました。
どのようなお店を目指すか
キリンシティは、キリンビールの外食事業です。ビールを伝えるため、エンドユーザーとの接点を増やすことが目標となっています。
そこにキリングループとして伝統から、「みんなにビールを楽しんでもらいたい!」という想いで普及した経緯から、本ブランドも気軽に来れるビアレストランを目指しました。
依頼内容詳細
コンセプト、ストーリー、物件探し、料理内容、店舗デザイン、ブランド名、ロゴデザイン 、ウェブデザイン、ディスプレイデザインなど飲食店の集客デザインに関する必要なものを一緒にディスカッションし、提案して欲しいという依頼でした。
飲食店デザイン研究所の提案内容
物件状況、街の周辺環境を見て注意したこと
20~30代の若い世代で働いている人をターゲットにしています。働いているオフィスから住まいまでの乗り換えポイントや仕事場周辺、住宅地周辺がベストです。駅から歩いて近いが、駅前ではない立地が良いと提案しています。それは、見つけた感や自分の居場所として成立しやすいからです。
物件状況は地下ですが、一階からの専用階段とドライエリアが大きくとられているので、通りから覗き込めるところが今回のブランドには合っている条件でした。隠れているが、ちゃんと店があることは認知できるという点です。
また、人通りは比較的少ないが、近くにはオフィスビルがあり、ターゲットは必ずいます。
ただ、恵比寿という街は、お洒落なお店がそろっています。美味しいお店もおおく存在するので、競合が多数です。より分かりやすい商品を出す必要性が出てくる難しい立地でもあります。
要望を受けて、何を一番ベストな提案だと考えたか
ビールを飲むときに、一番合う料理と空間を用意することを念頭におきました。しかし、若い世代を中心にアルコール離れが進んでいるのも事実ですので、食事するビアレストランを目指しました。
ビールも喉越しでごくごくたくさん飲む!というより、ワインのように味や香りを楽しみ、知識を得て楽しめるお店を目標にしました。
具体的な提案内容
コンセプトストーリー
海外旅行へ行った気分になれるクラフトビールのお店
毎日、お仕事を頑張っている若手世代へたまには気を緩める場、1人でも気軽に立ち寄れる場、飲めなくても食事に来れる場として存在する街に根付く場です。
家とも職場とも異なる自分の居場所となる飲食店。
季節ごとに変わるクラフトビールや様々なスパイスの効いた料理は、いろんな国々をイメージさせます。
そんな自分だけが知っている気心知れた友人ときたり、ここで知り合ったりと、海外旅行へ行った気分になれるビアレストランです。
マーケット的な視点
今回のブランド開発は様々な条件や時代背景より開発されています。
- 若い世代を中心に、アルコール離れビール離れが起こっています。現状を打破するためにそこにキリンビールの外食会社として、消費者との接点としての位置づけのあるブランド開発を指定ます。そこで、20~30歳代の働いている世代をターゲット設定しています。また、飲みから食事へ行ける夜業態としています。
- 外食産業の慢性化されてきた人材不足の解決するために、少人数オペレーションやセルフオーダーシステムや自動決済と、様々な取り組みをしています。
- 素早い投資回収のために、小規模店舗としています。個人店舗のような地元に根付く店舗展開を目指します。 そこと連動させるために手作り感=クラフト感というものをイメージ展開として打ち出しています。
建築的な視点
全体イメージとしては、街の市場(マルシェ)に来たかのような賑わいと、食材が置かれた広場をイメージしています。看板や飾られている額は、手作り感を感じられるようなデザインを目指しています。
飾られているものが揃っているわけではなく、見やすい位置に取り付けたり、照明に黒板をかけたり、「このあたりに飾るといいかな~」というラフなイメージになるように設計しています。
地下1階という立地ではあるが、道路からの専用階段ありますので、路面店と同じ効果が見込めます。その代わり1階のデザイン及び見下ろせるドライエリア(吹き抜け)になっていますので、覗き込め、お店の雰囲気をつかめます。
そういう要因から、通りを歩いている人へのファサードデザイン及び、見下ろした時の地下一階の雰囲気をまず重要なデザインポイントとなりました。
本来ならそこをテラス席として活用したいご提案をしていたのですが、不動産の契約面で利用が難しかったので、階段からのインテリアの見え方を集客ポイントとして考えています。
外から見える席に、人が座りたくなるデザインをすることや座っった際に気にならないように配慮しています。
プランについて
オープンキッチンを店舗の中央におくことで、お店が一つにまとまりやすくしています。大きなキッチンをカウンターやテーブルみんなで囲って食べているイメージでプランニングしています。
両サイドに横並びのテーブル席を配置することで、2~14名まで対応可能にしています。また、入口付近に樽をおいて立呑も誘致していけるようなプランとしています。
厨房計画とオペレーション
それは少人数オペレーションも可能としています。最低でもキッチン1名、ホール1名、兼任1名で回せるようにしています。実際には混雑すると4~5名必要かもしれません。
お客様のスマホでオーダーするセルフオーダーシステムを入れているので、オーダーを取りに行く手間を省いています。
そのかわりにお客様との接点がなくなるので、オープンキッチンから全てが見え、お声がけ出来る環境が生まれるプランニングになっています。
断面検討
今回は小さい空間をより広くみせるために、厨房収納もできる限り開放しています。更に実務的に使うために、ギリギリまで下げています。(厨房床高さよりH1850)そうすることにより厨房から使える棚が増えます。
問題はお客様からも見える点です。見栄えするもの見栄えしないものを分けておく必要があります。
荷物置きは、椅子自体の下に棚付きのものを採用しています。
視点のデザイン
通りから見下ろして、地下へ向かうアプローチの雰囲気づくりが重要です。店内の見え方、テラスには賑わいを生む必要もあることがわかります。
店内入った目の前には、キッチンカウンターで賑わいやシズル感をだし、市場のような雰囲気を出します。
光の検証
スケルトン状態をそのまま利用する箇所が多いデザインですので、光が当たって良い箇所といけない箇所が多くあります。よって、まずはその検証から入りました。
その上で、中央にある厨房がよりライブ感を出す為に、広角と中角のダウンライトを中心に配灯計画しています。逆に周辺の客席の中角スポットライトのみで、壁面に光が当たらないようにし、明るいというイメージを抑えています。
クラフト感(手作り感)を出す為に、露出の鉄管を出しながら、額やメニューの箇所には、裸電球の器具を設置しています。その配置を高さを合わせず、席に座った時に気にならない高さにしています。
コストコントロール
大手企業の施工は、対応力、クオリティ、資金力、多数の人材が必要となります。これに対応できるのは、大手施工会社になります。その分、コストも割高になります。
建築材料や施工項目の削減を行い、コストダウンを図っています。その中でもイメージを大きく変えないようにしています。例えば、床はすべてモルタルで下地を作るのではなく、既存のコンクリートに部分補修で塗装仕上げ。天井は不燃木ではなく、木目調クロスにて施工しています。
お客様の視点から遠い天井や光があまり当たっていない床面、ライトアップされていない壁などは、素材のコストを下げています。入口に入った瞬間に目に入る箇所や手が触れる場所については、素材のスペックは落としていません。そうすることで、イメージがチープになりづらくなっています。
スケジュール
大手企業の場合、複数人が決定事項に対して関わっています。そのため、通常より承認時間をスケジュール内に入れておきます。
また、設計や施工のスケジュールだけではなく、販促物、メニューなどのスケジュールも入れることで、お店が出来上がるまでの流れを俯瞰で見ることができます。プロジェクトに多くの人々が関わる場合には、よりスケジュール表が重要となってきます。
完成後の店舗を徹底検証。「人の集まるデザイン」のノウハウ
入りたくなるデザインとは?
通りから地下を見下ろせる今回の立地は、隠れ家でありながら、視認性も取れています。地下のお店は中々知ってもらうまで時間がかかってたり、階段で下がりづらいものです。
そこで、下からのライトアップや一階の壁と地下のインテリアを同じ雰囲気とし、雰囲気と光で安心感を与え、入りやすくしています。
店内はオープンキッチンを中央に、コの字カウンターで、すべての席と会話が出来るようなお客様もスタッフもフラットに会話できるようにしています。
また来たくなるデザインとは?
季節に応じたクラフトビールや料理の変化は、また来てみたいと思える点です。とくに数多くのクラフトビールが、入れ替わるので、ビール好きはリピートになりやすいです。
恵比寿という立地としては、3000~4000円と比較的客単価も抑えられながら、隠れ家的な雰囲気と料理クオリティからするとコスパ高いので、普段使いしやすいです。
今、何かに特化した専門料理店増える中、それとは逆にビールを基軸に料理とサービスと空間のバランスで、リピートにつなげるお店です。ファミレスと居酒屋の中間に位置しているイメージです。
行きたくなるデザインとは?
多数のクラフトビールとそれに合った料理が食べられる点を前面にすることで、興味をひきます。
店内のオープンキッチンで焼かれているグリルチキンや世界各国のスパイスのディスプレイ、壁面に書かれた手書きメニューなど、気軽に入りやすい雰囲気を作り出しています。それが写真とキャッチコピーで表現されることで、人を呼び込む要素となります。