カウンターデザインの重要性
カウンター周りで多い要望とは
「カウンターの目線を合わせて欲しい!」という要望が多い
カウンターデザインの話となると、まず話に出てくるのが、「お客様と料理人の目線を合わせてほしい!」ということ。これまだ多くの飲食店を作ってきたが、なかなかの頻度で言われます。それも高級店になればなるほど、その要望が多いのです。
なぜ視線を合わせたがるのでしょうか?
お客様を見下したくないから。
コミュニケーションを誘発したいから。
ポジティブ要因とネガティブ要因の両極端から要望が来ています。
カウンターをフラットにしたい!
次に多いのは、「カウンターをフラットにしたい!」という要望です。
これは鉄板焼、割烹料理などに多い要望です。カウンターを主体としたお店に多い傾向があります。
なぜ、カウンターフラットにしたいのでしょうか?
調理中のシズル感を見せたいから。
料理人の技を披露したいから。
一枚の大きなテーブルに見せたいから。
高度な技や良質な食材、空間の広さを見せたいという意図が多く感じられます。高級店を目指す飲食店オーナーからのご要望が多いです。
ハイカウンターにしたい!ローカウンターにしたい!
「バーだからハイカウンターで」
「日本料理だからローカウンターで」
といった業態イメージから来ることが多いです。ここには明確なブランドコンセプトから来ていないことが多いです。
「なんとなく、、、」
「周りの店舗がみんな同じ感じだから、、、」
というとても曖昧な理由で選定されていることが多いです。
カウンターは飲食店の見せ場!カウンターデザインの重要性
カウンターは飲食店にとって見せ場でもあります。飲食を提供している場所でもあるからです。クローズドキッチンであれば、カウンターはありませんが、オープンキッチンであれば、最大限に生かさなければなりません。
まずはあなたが、「何を一番重要視しているのか?」を整理する必要があります。
カウンターデザインはどんな効果があるのか
「お客様と目線を合わせると何が良いのか?」という疑問を持つ前に、そもそも「カウンターにはどんな効果があるのか?」という疑問を持つことが必要です。
カウンターデザインが与える効果を見ていきましょう。
- スタッフとお客様が違和感なく会話に集中できる
- 料理を作っているシーンに魅せられる
- 厨房と客席が一体的になり開放感を得れる
- 大きな食事スペースにより贅沢な気分になれる
- 座り心地が良い
大きく分けてこの五つの要素があります。2カウンターはデザインと機能の両立を目指すこと
カウンターデザインが素敵な実績のある会社とは?
設計事務所やインテリアデザイン事務所であれば、デザイン性の高いカウンターは作ってくれるはずです。しかし、カウンター設計は客席と厨房の接点。とても機能性が必要な場所です。業種業態によっても異なります。やはり、ビジュアルだけではなく機能性にも配慮してくれるデザイナーさんにお願いする方が、長期的には良い投資につながります。
お客様の目線と合わせるカウンターをどう作るのか?
目線を合わせると言うより、視線に注目してデザインをした方がベスト。お客様の視線は、調理している手元と、料理人と会話する時の視線の二つがあります。それが違和感ない範囲を検討します。
逆にスタッフ側の視線は、お客さんの様子をみる視線と、周辺のお客様の気配を感じれる視線の二つがあります。どのようにサービスをするか?と、他のお客様への配慮という視点での検証です。
カウンター立ち上がりは、なぜあるの?カウンターデザインの要素
「カウンターをフラットにしたい!」
という要望に対して、
「カウンターに立ち上がりが出来てしまいます、、、」
と言う制作者側の答え。
これはなぜそうなるのかと言うのは理解しておいた方がいいです。
ズバリ、排水経路がそうさせています。排水経路はグリストラップを床埋め込みにするかどうかでも変わります。そして、水は重力に伴って流れていきます。(当然ですよね?)それを排水勾配と言いますが、それを取るために厨房側の床が上がっていきます。すると、厨房の床におく厨房機器も上がっていきます。
一方、客席側はというと、ハイカウンターか?ローカウンターの高さに食べるテーブルを設置するだけ。
そうなれば、厨房側の床が上がれば上がるほど、、、、厨房機器が見えてきてしまいます。それを隠すためにカウンター立ち上がりが出てきてしまいます。
カウンター設計は断面図が命!
カウンターの高さに気を取られるな!無理に目線を合わすことに拘るとコスト増に!?
カウンター周りは断面図での設計が一番わかりやすいです。前項でお話しした理由でカウンター高さが決まります。それでも目線を合わすことが大切であれば、客席の床を上げることになります。そこでの注意点は、天井高さです。客席の床を上げれば、客席の天井高さが下がります。高さに余裕がある物件であれば、問題ないのですが、圧迫感を感じる高さになってくると問題です。
さらに床を全てあげるので、通常よりもちろんコスト増になります。
圧迫感を緩和する方法もある
床を上げて圧迫感が出ても、目線の高さやカウンターフラットにこだわるとなれば、あとはデザインのテクニックで回避することになります。そのコツは、「視線をカウンターに集中させる」です。光や色彩のテクニックを使い、視線をカウンターや厨房周りに持っていく手法です。ここでは詳しくお話ししませんが、機会があれば記事にしたいと思います。
カウンターは高さではない?!視線の角度で見え方を検討する。
「そもそも何がしたいのか?」これを整理する必要があります。お客様とスタッフの視線の高さを合わせて何をしたいのか?を整理する必要があります。そもそも、目の高さを合わせると言うより、視線の角度を気にした方がよっぽど効果的です。
- お客様に何を見せたいのか?
- お客様にどう感じてもらいたいのか?
- スタッフはやりやすいのか?
この辺をしっかり抑えるべきです。
お客様にとってハイカウンターとローカウンターの違いは?
客席側のカウンターの高さも重要なポイントとなります。ハイカウンターとローカウンターです。
ハイカウンターの特徴
- 立ったり座ったりするのが気軽
- 小さい面積でも席数は増やせる
- 長居はしづらい
ローカウンター
- ゆったりと落ち着ける
- 長時間座っていても疲れづらい
- 肘掛付きだと面積が必要
座りやすさ寸法はどこを見れば良いのか?テーブルと座面高さの関係
座り易い標準的な寸法はどこを見れば良いのか?
それは、「テーブルトップから座面」と「座面から足を置く床面」の寸法です。
「テーブルトップから座面」は250~300mm
座った時の肘を曲げた時、90度に曲がった高さが基準となります。個人差があるので、ターゲット層に合わせて設定してみましょう。
「座面から足を置く床面」は350~450mm
これは短ければ(350mm)立ち上がりづらくなるので、ゆったりとしたラウンジのような空間になりますし、長ければ(450mm)立ち上がりやすく気軽な空間にあってきます。
また、靴を履いた状態での使用なのか?脱いだ状態での使用なのかによって、20~30mm異なってきますので、気をつけて設定しましょう。
あなたに最適なカウンターデザインをするための質問
ここでは、カウンターデザインをする上でとても大切な質問を用意しています。これであなたのお店にとって最適なカウンターを見つけやすくなります。
高級店か?カジュアル店か?
色や形、クッション性も含めた要因につながってきます。
顧客同士の会話か?店員と顧客の会話か?
視線の高さだけではなく、調理する位置と食事をする位置の距離感にも影響します。
落ち着く店か?楽しむ店か?
カウンターの高さだけではなく、厨房周りの収納の見せ方、もしくは見せないような設計にするのかに影響を与えてきます。
調理を見せたいか?見せたくないか?
カウンターの立ち上がりで、見せたくないものを隠せるかどうかを検討します。収納スペースの量もここで調整をかけていきます。
料理人のレベルが高いか?低いか?
料理人が入るのか?バイトが入るのか?では大きくカウンターデザインも異なります。誰がそこで調理をするのか?をよく検討すべきです。
カウンターデザインを実例から学ぶ
うな衛門
うお松
かめや
イチニョ
Vin Brule Verre
和牛倶楽部
焼鳥 山もと
まとめ
カウンター席の目線を合わせる効果は、会話とライブ感を魅せるため。物件状況と本来の目的を照らし合わせて、ベストなカウンターデザインを目指すべきです。
1お客様と違和感なく会話できるカウンターは、高さと距離感で決まる!
2料理人の手元を見せるか?見せないか?職人レベルとブランドイメージに合わせる!
3お客様が置く足の位置が、ハイカウンターとローカウンターの良さを生み出す
どう見せたいのか?どのような体験をしてもらいたいのか?を考えること!
必ずしも目線を合わせなくても、あなたの作りたいカウンターデザインは見つかります。
そうすることで、ブランドコンセプトに最適なカウンターが完成します。