今日は、「コロナ禍でも生き残っている飲食店の共通点とは?」というテーマでお話ししたいと思います。
結論から言ってしまうと、生き残っているお店の共通点は、「店舗デザインに対して、意外と内装コストがかかっていない」というごくごく当たり前のことです。しかし、そこにはテクニック的なノウハウが詰まっているのです。
そもそも内装コストとは、どのように決まってくるのでしょうか?
「内装」と「設備」と「管理」の3つのコストに分けられます。
内装コスト
内装コストとは、壁を立てたり、床を作ったり、ベンチソファなどの下地と仕上げの費用となります。お店の見た目的なところですね。お客さんはこれを見て、「カフェに入ろう!」「和食でランチしよう!」「デートでフレンチにしよう!」と言ったように、業態イメージをしています。
設備コスト
設備コストとは、「電気設備」「ガス給排水設備」「換気設備」「空調設備」「消防設備」があります。
電気設備
照明での演出をしたり、スイッチをつけたり、厨房機器のコンセントなどをです。元となる分電盤も設置します。
ガス給排水設備
水をだしたり、ガスで作ったお湯を出したり、洗い物の排水をしたりします。流れた油をグリーストラップを通して、配管づまりを制御したりもします。
換気設備
ダクト工事と言われているものです。厨房のフード設置や空気を吐き出すファンを設置します。屋上までダクトを持っていくときの工事も行います。トイレや客席の換気ファンも設置します。
空調設備
エアコンですね。温度を温めたり、涼しくしたり、室内の温度環境を整えます
消防設備
火事が起きた時の火災警報器や消火栓設備を設置します。書類提出や検査対応も行います。
管理コスト
工程表を作成し、スケージュール管理をします。発注したり、コストコントロールする現場監督の人件費、その会社の経費、掃除道具や工事中の光熱費なども入ります。
内装40%、設備40%、管理20%のコスト配分
お店の雰囲気を作り出すコストは全体の半分以下
飲食店の内装コストの内訳は、平均的には内装40%、設備40%、管理20%のコスト配分となっています。そのうちお店の雰囲気を作り出すメインは、内装の防水など機能面を除いたコストと、設備の中の電気の照明工事です。大体ですが、全体コストの半分以下です。
設備のコストカットは機能障害を生む
全体予算をギリギリに組めば組むほど、見た目に使える内装コストの配分は減っていきます。なぜなら、設備コストは削減できないからです。設備コストを削減すると、機能的に問題が発生しやすくなります。
内装コスト削減がオープン後の見えない負担に?!
内装コストが減ると、他でフォローすべき
内装コストを削減しすぎると、もちろん集客力は大幅に減ります。そうなると、料理の味やコスパのよいメニュー、高いサービス力で、フォローが必要になってきます。
オープン後の負担になりやすい
結局イニシャルコストは落とせますが、ランニングコストや売上に影響は出やすくなります。サービス力を向上させるには、スタッフの負担が増え、人件費が上がって行きやすくなります。料理に対するコスパを上げるにしても、原価率が上がりやすくなり、利益率も下がります。
生き残りやすい飲食店の共通点
内装コストのバランスが良い
生き残りやすい飲食店は、内装コストが意外とかかっていないことです。それは最低限は、内装コストに使うということです。過剰にコストをかけても、ある一定からはあまり変わらなくなってくるということです。これは、小さな飲食店ではよくあることです。
小さなお店は特徴作りに集中
小さな飲食店は、キャパが小さいので、限られた人数しか入れません。なので、お店の特徴を出し、それを好むお客さんだけを集めれば成り立つからです。ですので、あれやこれやと色々作るのではなく、一つのことに集中して作り込めばいいのです。
施工コストのギャップ感
さらにその特徴作りの上で重要なのが、見た目と施工コストのギャップ感を作ることです。それがあればあるほど、店舗の生存率は高まる傾向があります。コロナ禍でも生き残れるのです。
内装と照明は、人が見るところだけ!
人が見るポイントを理解すること
では、その雰囲気をどのように作り出すのか?
まずは、人が見るポイントを理解することです。限りある内装コストを効果的に使うには、資源の集中です。お店の特徴を人が認識するポイントに、資源を集中するのです。そうするに印象付けるために、人の記憶に残りやすいところに良い素材、デザインを効果的に行うということです。
ではそれはどこか?
席に着くまでが勝負
店舗に入る前、そして店舗に入った瞬間、そこから席に着くまでの一連の目に着くところです。要するに、席に着くまでがデザインする勝負なのです。
外から店内を見て、店内に入るとどんな音や香りがして、席に着くまでにキッチンが見えたり、他の客席が見えたりします。そこで人は印象が決まります。
人は正面を見る
そうはいっても、具体的にどこをデザイン集中させるかというと、正面です。扉を開けた時、人は曲がった時の瞬間、正面を見ています。なので、視点が切り替わる時の正面をデザインすべきです。
人は光を見る
あと、人は明るいところに目が向く傾向があります。スポットライト、間接照明といった光の種類はいくつかあります。重要なのは、光らせる対象物であるマテリアル(仕上げ材)やディスプレイなどです。マテリアルであれば、光の当たる方向でイメージが大きく異なります。ディスプレイであれば、お店の特徴づけるものにしなければなりません。
影を作る
ただ、光を当てすぎると、人はどこを見て良いか?わからなくなってきます。なので、数をしぼります。その上で、光の周辺に影を作ります。影を作ることで、光は効果を発揮します。むやみに光を多くあてると、その効果も減るのです。
何もしないことも大切
光を充てるところを絞って、光が当たるところの仕上げ材やディスプレイのクオリティを上げることです。結果的には、内装コストや照明コストを減らすことにつながってきます。それ以外の部分は、何もしないということです。できる限りコストがかからない方法を模索します。
シンプルな高級店が一番コスパ良し!?
そう入っても、このやり方が一番効果的な雰囲気はあります。それはシンプルな暗めの高級店です。
「それはなぜか?」
高そうなお店っぽいから高い内装と思われる
高級っぽい雰囲気というだけで、人は内装コストも掛かっていると勘違いしやすい状況になります。そこの心理を利用します。
暗いところは目立たない
高級店の特徴は、暗いことが多いです。もちろんお寿司屋さんのように明るめで品のある空間もあります。しかし、コスパ良く作りやすいのは、ちょっと暗めの高級店です。暗いとアラが目立たないからです。先ほどもお話ししたように、光が当たらないところはできる限りコストをかけない。となると、そこは何も仕上がってないこともあります。見て欲しくないのです。
シンプルが一番!何もしないでコストかけないって意味じゃないよ!
シンプルといってもここでのシンプルは、真っ白で何もしないということではありません。要素を絞るということです。
例えば、真っ白な壁を作るとします。ここはお店の一番大切なデザインポイントであれば、塗装ではなく漆喰にすべきです。光の伸び方が違うからです。そこは小さな差異でもこだわります。そこにお店の特徴づける大きなアートや書を描きます。すると、目を惹き、印象付けられます。アートにもコストはかけます。お客さんはそこをまず見て、他の内装の記憶もありません。そこの記憶だけが残るのです。
仕上げより光を優先
高級感を出すのは、仕上げより光です。コストがなくなってきて、コストカットするなら仕上げです。光のコストカットすべきではありません。
コストにこまったら迷わず商業用より住宅用器具に
照明器具の選定はコスパ重視です。商業施設用の照明器具は、個数があまり出ません。一方、住宅用の照明器具の生産数は圧倒的に多いのです。需要と供給の原理で行けば、生産数が多い住宅用の照明器具の方が、コスパがいいはずです。
とはいっても、商業用照明のクオリティが高いのは事実です。ここはという時は商業施設用の照明を使います。
光はひたすら下から上へ
配灯方法も大切なポイントはあります。せっかくコスパ良い照明器具を選んだら、その特徴を最大限に活かすべきです。簡単なポイントは3つあります。
①下から上へ向ける光です。
②目線より低いとさらに効果が出ます。
③直接照明より間接照明の方が効果が出てきます。
これだけ実行すれば、かなり高そうな空間が出来上がっているはずです。
5まとめ
今回は「生き残っている飲食店の共通点」というところから、内装コストをかけずに高級な雰囲気の作り方をお話ししてきました。生き残れるのは、初期コストを抑えつつ、雰囲気を作り込めたというところに限ります。それを実現する方法として、仕上げと光のコストバランスをちゃんとデザインすべきですよ~というお話しでした。参考にしていただき、外食産業をみんなで盛り上げられたらと思っています。それではまた~。