【人が集まる店舗デザイン】キッチンイチニョ

目次

物件情報

住所 〒220-0073 神奈川県横浜市西区岡野1丁目1−1 ウィングコート横浜1F
駅徒歩分 横浜駅 相鉄口西口から徒歩5分
周辺環境 住宅立地
物件面積 55.15㎡(16.68坪)
店舗面積 55.15㎡(16.68坪)
厨房面積比率 30.05%
竣工時期 2015.12
席数 28席
席数/坪 1.68
全体予算 1400~1500万円(内装のみ)

※実際にこの物件の内装費用とは異なります。

想定家賃相場 30万円/月
客単価 4000〜6000円
月商(想定) 300万〜500万円
営業日 週6営業

キッチンイチニョオーナーからの依頼の経緯・依頼内容

どのように飲食店デザイン研究所を知ったか?

和ダイニング一如、鉄板焼一如をデザインしていただき、引き続き3件目の依頼となります。

なぜ、飲食店デザイン研究所に依頼をしたか?

今まで作っていただいた店舗が、成功しているので3件目も依頼しました。

どのようなお店を目指すか

今回のお店では、どのようなターゲットを考えておりますでしょうか?

今の一如と同じ層ですが、性質が異なります。

どのように異なるのでしょうか?

和ダイニングは、美味しい料理が和空間で気軽な価格帯にて食べれます。男を中心として考えていましたが、メディアに載ることで外部流入の女性や若い年代のお客様が増えました。
鉄板焼は、良質な空間で良質な料理とサービスをコンセプトにしています。接待やデートに使ってもらっています。元々、少しお金持ちが、普段使い出来るお店を目指しています。高級店に見えるけど、安いとのギャップ感を売りにして、売上を伸ばしてきています。
そして今回のキッチンイチニョは、初の洋食店舗になります。和のおもてなしの心を持って、西洋の料理を出します。

了解しました。オーナーが明確なビジョンを持っていますので、それを良い意味で裏切る提案をすることを目指します。 

飲食店デザイン研究所の提案内容

物件状況、街の周辺環境を見て注意したこと

横浜駅西口から商業立地を抜けた所の住居地区に位置していました。近くには飲食店どころか、お店は全くありません。完全な目的店舗となります。

新築マンションの一階でして、上階は全てマンションです。臭いの問題は、絶対に出ることが想定されました。また、外観がマンションですので、いかに飲食店の構えを作り込むかが、ポイントとなりました。どこまで、建物側のオーナーの許可をしてもらえるかを、交渉する必要がありました。

オーナー要望に対する飲食店デザイン研究所の提案のやり取り

客層について

ターゲットについてどう考えてますか? 

今までの一如と同じ層である30~40歳の男女は問わないターゲット層は変えません。

立地について 

駅から遠く選んだのはなぜですか? 

地元横浜の人たちに来てもらいたいです。横浜で仕事をしている人たち、一如のファン=知る人ぞ知るお店となってもらえれば良いです。
今までの2店舗も初めは、知る人ぞ知るお店でしたが、ネットの口コミなどで外部流入が増えてきまして、地元のお客様がもっと気軽に来れるお店を作りたいです。

客単価はどのように設定しますか? 

単価も6000円~10000円の支払いを普段から使う人たちが、メインのターゲット条件にもなります。

料理はどのようなイメージを持っていますか? 

洋食を和皿で提供するイメージです。

空間はどのようなイメージを持っていますか? 

『カジュアル・ラフ高級』
『明るいけど高級』

オーナーとの会話での飲食店デザイン研究所の分析

ターゲットは、地元横浜に住んでいる方々。一如さんのファンの皆さんです。 

そんな一如ファンは、 

  • 落ち着く空間が好き 
  • 隠れ家のような佇まいが好き 
  • 知る人ぞ知る店 
  • まるで自分だけのお店のような一如さんが好き

しかし、最近の流れとして

『いつもの一如さんではなく、明るく賑わいのある空間で元気をもらいたい。』 

『でも、一如さんで飲みたい。』 

そんな気分の一如ファンを「和のおもてなしの心をもって西洋の料理で暖かくお迎えする」お店を目指します。 

具体的な提案内容

コンセプトストーリー

古き良き和空間に、スパイスを加えた洋食屋 

通りを歩いていると、城壁を思わせる正統派な構えに。近くに寄ると、モダンなあしらいや見え隠れする華やかな植栽は、開放感あふれるイメージをわかせカジュアルな印象を与えます。 

店内に入ると薄暗い路地の奥から明かりや笑い声が漏れています。足早に店内へ進むと、古き良き日本の食卓で、皆で楽しそうに食べています。正面には、日本人らしい動きある坪庭に、外国から取り寄せた植物が融合されています。 

奥へ進むとクックコートを着たシェフが、額のように切り取られたキッチンで、料理を振る舞っています。カウンターに座ると、額に囲われた感じが落ち着きます。ここは店内とは異なり繊細なこだわりを感じ、座った人のみが体感できる空間となっています。 

マーケット的な視点

『品のある賑わい』 

ターゲットとなるファンの方々は、駅前の大衆酒場のようなワイワイ、ガヤガヤとした賑わいを求めているのではないのです。 

一如さんの落ち着く空間が好き、一如さんの隠れ家のような雰囲気が好きな方々は、ワイワイ、ガヤガヤよりもワントーン落ちた賑わい、つまり、賑わいの中にも『品格』を求めています。 

今回提供するのは、『品のある賑わい』でなければならない。 

「周囲が気にならない賑わい」 

「居心地の良い賑わい」 

「自分の存在をそっとそこに置くことができる賑わい」 

を目指します。 

建築的な視点

和×洋 = 品×賑わい = インテリア×人・プロダクト・ディスプレイ 

シンプルで品のある和皿で提供される華やかなおいしい洋食屋さん。 この構図を空間にも持ち込みます。 

つまり、「品のあるシンプル(モダンな)な和の空間(インテリア)で、(人・プロダクト・ディスプレイが演出する)賑わいを包み込む」必要があります。 

品のあるシンプルでモダンな和空間は、 面で構成される西洋の空間を、日本の伝統的な手法[要素・スケール]を用いて構成していきます。 

全体雰囲気『寿司屋のような品』 

『品のある賑わい』の空間とは、身近な場所では「寿司屋」の雰囲気に似ています。 内部は明るく品が感じられますが、外部からは中の様子を掴むことができず、高級感が漂ってきます。 入口がどこにあるのかわからない隠れ家的な店も多く、ファンのためのお店ということを静かにアピールします。 

外観からアプローチ 

プランについて

アプローチを大切にするために、出入口をお店の端にしました。風除室を兼ねたお店のブランドイメージを印象つけるための構え作っています。そこにトイレを配置することで、客席からは直接見えなくなっています。

2~6名の少人数対応を基本としたプランにしています。そのかわり小さい店ですが、異なる様々なシーンの席を用意しています。

2~8名まで自由に可変できるソファ席。お庭が見える4人席。料理人とお話ししながら食べられるカウンター席。他とは異なる椅子でライトアップされた6人対応の中央席を用意しました。

それぞれが異なりつつ、全てが可動式になっているので、お店全体を貸し切ることもできます。そうすることで、結婚式の二次会や会社の忘年会にも使いやすいお店にしています。

外観からアプローチ

『モダンな外観と日本的な引きを取るアプローチ』

内部の様子をはっきりと伺い知ることはできません。

道路境界の塀の足元に開けられた地窓のような穴から漏れ出す光が、お店が営業していることを密かに告げます。

今日はどんな賑わいのひとときが待っているのだろうかと、期待感を膨らませながら、お客は入口へと進みます。

中央の席

重厚な扉を開けて奥に進むと、寿司屋のような『品のある賑わい』に満たされた落ち着いた空間が広がる。

中央の席は、落ち着かない可能性があります。ですので、和でも洋でもあうビンテージランプを使いまして、椅子も他とは変えることで、特別感を与えられたらと思います。その時にあまりグレード自体は変えずに、雰囲気を変えたいと考えます。全体的には、あくまでカジュアル感を残します。

窓際の席

『和と洋、二つの見え方がある庭園』

窓側の席に座ると、外から一部しか伺えなかった庭園が目の前に広がります。

外からの地窓で限定的に切り取られた日本的な見え方に対し、西洋的なダイナミックな見え方へと変化して、店内の賑わいに花を添えます。

パーティーを行うときは開放され、内部と一体的に使用することができます。

カウンター席

『和のスケールを持った落ち着きのある天井空間』

水平な庇で天井高さを茶室のような低い高さのスケールに抑えることで、お店の中では比較的落ち着きのある空間を生み出します。

庇は日本的なイメージですが、水平面で構成することによって、モダンなイメージが付加されます。

ソファの席

『品のある賑わいを眺める外野席』

気心の知れた仲間でひとときを共にする席です。キッチンと対面をしているため、お店全体を見渡すことが出来ます。

厨房計画とオペレーション

キッチンをオープンにした上で、ドリンク場をクローズドにしているセミオープンキッチンとなっています。

セミオープンキッチンの良さは、ホールスタッフへのディシャップ、ドリンクコーナー、洗い場といった綺麗に見せることが難しい場所を全てお客様からは見えなくすることができる点です。

最小限に厨房を縮小している時の最大の問題は、フード、ドリンクのディシャップスペースがないことと、下げものとの交錯が生まれることです。

そこで、ディシャップは高さを使い、ドリンクは上の棚へ、フードは下へなどとルールを作ることで、スムーズなオペレーションとなります。

洗い場はホールスタッフがキッチン内へ入らないように受け渡しの開口部をソイルドテーブル脇に設置することで、ディシャップとの交錯を避けています。

更に客席側のホールスタッフは、そのまま後ろに配置されているレジへとすぐに移動することができます。そのレジコーナーからは店内が全て見渡せ、かつ来店されたお客様をお出迎え、お見送りできる位置にあります。

断面検討

カウンター埋め込みメニューを始めて設計しました。同時に足元の斜めの荷物入れは、大きなバックも入りやすい設計にしています。ハイカウンターの足置きには、間接照明が設置されながらも普通の低い椅子に座ったような感覚になれる高さ関係にしています。カジュアルさと落ち着きある席の両立したカウンター周りの断面計画です。

厨房とカウンター席の間には、野菜などを見せるショーケースを配置しています。こだわって作られた新鮮な野菜で調理していることをアピールしています。また、同時に調理中の手元を隠す効果もあります。

視点のデザイン

 

隠れ家を十分に表現するためには、外観から入口のわかりにくさと、入口へと自然に足を運ばせる外観デザインが必要です。

外から店内に入り、席につくまでのアプローチを大切にします。

アプローチ部分にトイレを作ることで、客席からは見えづらい位置に配置できます。更にこのアプローチ部分は、お店の印象づけるポイントになっているだけでなく、風除室がわりにもなっていますので、足元の寒さを緩和させています。

客席に入りますと、正面に庭が奥に見えています。外の外部には高架式の道路が見てるので、障子で視線を庭だけに集中させる配慮をしています。

左手に臨場感あふれるオープンキッチンがカウンター越しに拡がっています。

また、厨房内からのお客様の見え方やバックヤード(倉庫)の使い勝手も検証しています。

光の検証 

明るめ印象と今までの落ち着いた光のバランスを両立させる必要がありました。

照明自体は、中角の照明を基本にしながら、全方向照射するペンダントライトを中央につけることで、部屋全体の明るさをとっています。間接照明で壁面照度をとり、落ち着きと明るさを両立させた配光計画としました。

天井面には、夜空をイメージしたコバルトブルーのマテリアルに、間接照明を当てることで漆黒から濃紺へグラデーションの光となります。壁と天井面に光を当てる面積を50%以上にすることで、明るい印象を与えつつ、素材の明るさトーンを下げることで、光があまり回らない設計にしています。

完成後の店舗を徹底検証。「人の集まるデザイン」のノウハウ

入りたくなるデザインとは?

外部からは中の客席は、見えないが、壁に穴を開けたり、ルーバーの奥に光を灯すことで、道に対して光漏れが出来ます。周辺が店舗が全くない真っ暗な道だからこそ、ちょっとした光が、人の興味を引きます。

また来たくなるデザインとは?

小さな店舗でも、各ゾーンに席の性格を付けることが、また来たくなる要素は繋がります。

  • 庭が見える席
  • みんなで食べるソファ席
  • ライトアップされた中央席
  • キッチン前のカウンター席

それぞれが少人数対応の席で、壁がない一体的な見渡せますが、それが逆に次はあそこの席に座りたいな。と思わせることにもつながります。

トイレには、茶香炉が置かれお茶の香りがします。香りの印象は、特に女性には自分の家でもやりたいなと思えるような、細かい配慮がリピートにつながっていきます。

行きたくなるデザインとは?

和洋折衷の大正時代に西洋文化が入り込んだイメージをしながら、レトロな小物を用意しました。汽車のおもちゃ、木で作られたウサギ、銅の茶入、ステンドグラスの照明、エジソンランプ、ブリキのジョーロなど生活感も出しながら、時代背景の世界観も同時に伝えています。

庭には、石のつくばいや和と洋を織り交ぜた植物を配置することで、また違った見え方のする庭園が出来上がります。

このような小さな一つ一つが、写真で撮られるようになり、口コミで拡がっていきます。結果的に行きたくなるデザインとなっていくのです。

オープン後、人気店のカギとなる集客力

多くのお客様が来店している理由

当初は立地的な要因より認知が少なく苦戦していました。料理やサービス的なクレームはないにしても、絶対的な来客数が少なかったようです。

既存店舗からの流入や口コミで次第に安定的な売上になっていきます。

ここでの問題点は、隠れ家店舗を作るときに初期来店を誘致する広報活動は、必要かもしれません。ここで、オーナーも嫌がっています「誰でもみんな来てください!」と言ったブランドイメージを下げるような集客です。このような広告を打つと逆効果になることもあります。焦らずにスピーディーな考えられた判断が必要なのかもしれません。

どんなこだわりが隠されているか

料理へのこだわり

空間へのこだわり

常に清掃には気をつけています。特にトイレの清掃も含め、香りを茶香炉を使いまして、お茶の落ち着く香りが、ほかの洋食屋他店では体験できないトイレがあります。

野菜を作っている農家さんとの写真を、さりげなく飾ることで、お店のこだわりを感じられるポイントとなっています。

サービスへのこだわり

和の空間(70%)+洋風のコックさん(30%)

という配分で決めたイメージ。メインコンセプトからスタッフのイメージも統一感を出しています。

スタッフさん(洋の服装、カジュアルなエプロン、コック服)から洋食が出されるサービスイメージです。

客席の様子を伺うためのサービスカウンターにより、サービス力向上を目指します。

メニューを紐で引っ張り出すと鈴がなり、呼び鈴がわりにもなります。スタッフがお客様に気づきやすい環境をアナログ的に作っています。

立地とコスト

 

立地は人通りがなく、周りに飲食店もない環境が、逆に競合がいないメリットとなっています。近くの住人が来てくれればと思います。

それに対するコストは、普段から使うために若干下げる方がもしかしたら、お客様層は増えるかもしれません。

ただ、あくまで小規模店舗は席数が少ないので、ニッチ層に対してファンが増えれば良いというスタンスは必要です。

売上はいくらなのか?

28席×満席率70%×1.5回転×4500円×25日=330万円/月

四人席があるので、満席率は少し落ちますが、二人ずつに分けられる席がほとんどですので70%は想定できます。

実際に行った人の口コミ

こういうお店大好きです。場所がちょうどよく変なところにあって、お店の大きさもちょうどよくて、外観も内装も照明もとてもセンスがいいです。お料理は適度に手が込んでいます。お値段と提供時間のバランスがいいです。量は二人で一皿ってくらいです。
メニューはテキストで、素材+調理法みたいな表現です。頭で絵をイメージして注文しますが、いい感じに裏切られ、やっぱプロが作るとこうなるんだなあ、と感心させられるオシャレな盛り付けで出てきます。そしてうまいです。味付けはわりとはっきり系かと思います。
お料理が提供されるテンポもよかったです。なんとなくコースっぽく順番に出てきます。適度にお皿を変えてくれます。箸もあります。ちょっとほめすぎでしょうか。口コミってだいたい最後に一言だけお店に注文つけるようなパターンが多いかと思いますが、そういうのないです。また行きたいです。

間違いない一如グループ 弟君のお店
内装もお金がかかってるだけあって和テイストでステキです。
白レバーペーストは是非‼️
リーズナブルなのも良いです

誕生日祝いで予約
季節の新鮮な野菜を使った料理で非常に美味しかった。
食材の好みも聞いてくれてよかったです。
ちょっと引っかかったのは、意外に賑やかな店だったこと。
それでも、また使いたいです。ごちそうさまでした。

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