神楽坂の隠れ家居酒屋「ちょうちん」での実体験
神楽坂に新しく住み始めた仕事のパートナーと、決算の打ち合わせを兼ねて飲むことに。私はいつもメイン通りから1本道を外れた立地の店を探します。そこは少し静かな路地裏には人気店があるからです。Googleマップで「ちょうちん」を見つけました。やっぱり⭐︎の数と口コミ数をみちゃいますね。
神楽坂の路地裏に位置する「ちょうちん」は、温かみとコスパの良さが地元で愛される居酒屋。古き良き日本の居酒屋の雰囲気と、食と体験を楽しむ場としての工夫が魅力的でした。今回は、このお店から学べる設計と事業運営の視点について解説します。
設計デザインの視点
「狭い空間」を活かした設計の工夫
- 狭い「うなぎの寝床」型の間取りに、オープンキッチンを入口近くに配置し、通路の奥にテーブル席を配置。来店時から調理のライブ感が顧客を引き込み、入った瞬間から期待感を高める。
- ポイント:狭さを逆手に取り、オープンキッチンを入口付近に配置して視覚的なインパクトを持たせる。調理の様子が見えることは、顧客との距離を縮め、料理への信頼感を増す。
ほぼ満席で、私たちが帰る頃には、店外のガードレールに座って待ちながらビールを飲むOLやサラリーマンの姿も。店内での賑やかな会話と外で待つ人たちの様子からも、地元で愛される人気店であることが伝わってきました。
古さを活かした「親しみやすさ」の演出
- 「ちょうちん」では木製のカウンターや古びたテーブル、狭い通路がレトロな雰囲気を醸し出し、懐かしさと親しみを感じさせる。
- ポイント:デザインの洗練だけでなく、古さや狭さを強みに変える工夫が、地域で愛される居酒屋の魅力を生む。
「せまい!」そして「人が多い!」と感じました。狭い通路に人がびっしりと入っており、活気が満ちていて、まるで昔ながらの人情味あふれる居酒屋にタイムスリップしたようです。人々の会話と笑い声が店内に響き、賑やかで温かい雰囲気に包まれていました。そこで入り口付近のカウンター席で、他のお客さんに詰めてもらい、カウンター端っこにLで二人で座ることにww
「エンターテイメント性」を重視した配置と提供方法
- カウンター越しに料理を提供するスタイルや、寿司の一部は手渡しで直接口元に運ぶなど、エンターテイメント性を取り入れている。
- ポイント:カウンター席の特性を活かし、ライブ感や体験型の提供方法を設けると、特別感が増し、顧客に「ここだけの体験」を提供できる。
「ちょうちん」は寿司屋を感じられる居酒屋。メニューは幅広く揃っていますが、特に「おすすめ3点セット」は絶品。中でも、「うなぎ巻き」がおすすめ。カウンター越しに両手を出して、海苔巻きとご飯、そしてうなぎを握り寿司として手にのせてもらい、そのまま食べるスタイルです。お客さん自ら動くこのスタイルはエンターテイメント性が高く、他にはない体験ができます。
オペレーションと動線の効率化
- スタッフが狭い通路を行き来しやすいよう、カウンターで料理を受け渡しできる動線を作ることで、効率的なサービス提供が可能に。
- ポイント:調理スペースや客席間の動線を短くし、コンパクトな配置で効率化する。小規模な店ほど、スタッフが動きやすい設計を工夫することが重要。
通路が狭いため、スタッフが頻繁に動くのは大変そうでしたが、カウンターからの提供が中心で、効率的なオペレーションが行われていました。スタッフ同士の連携も良く、狭さを逆手に取ったサービスが実現されています。
事業的な視点
高回転率と高コスパメニューのバランス
- ネットでは1人5000〜6000円の客単価で、コスパを感じさせる料理の提供が特徴。二人でかなり飲んで食べたにも関わらず、計13500円。
- ポイント:リーズナブルな価格設定で量と質のバランスをとり、高回転率で多くの客層に対応。コスパを重視することでリピート客を確保できる。
メニューに「体験価値」をプラスする
- 寿司居酒屋として、カウンター越しの「手渡し寿司」や「3点セット」など、ユニークな提供方法で他店との差別化を図っている。
- ポイント:顧客が印象に残る提供方法を取り入れ、メニューに体験を加える。料理を通じて「驚き」や「楽しみ」を提供し、口コミ効果を狙う。
ターゲット層と地域に根ざした営業スタイル
- 神楽坂という土地柄もあり、地元の会社員やOLが帰りに立ち寄れる気軽さが特徴。口コミを通じて、新規顧客も増えている。
- ポイント:ターゲット層と地域に合わせた店舗運営が重要。特に、近隣のオフィスや地元の住民をターゲットにしたアットホームな雰囲気が、リピーター獲得に寄与する。
限られた人数での効率的な運営
- 店長が調理と接客を兼任し、他のスタッフが補助する形で効率的に4人で運営。混雑時にも問題なく対応できる体制。
- ポイント:人員配置と役割分担を工夫し、少人数でもオペレーションが回るような仕組みを作る。小規模な居酒屋ほど、効率化を図り、無駄を減らすことが重要。
まとめ:設計デザインと事業の両視点を活かした飲食店計画のヒント
「ちょうちん」は、限られた空間や狭さを逆に利用し、常に混雑している地元に愛される場所として確立した居酒屋です。これから飲食店を開業するオーナーにとっては、スペースや予算の限界を強みに変える工夫や、コストパフォーマンスの高さを売りにする戦略が重要です。
「居心地の良さ」を生み出す空間デザイン、「ここでしか味わえない体験」を提供するサービス、そして「地域に根ざす」事業展開。この3つを軸にした店舗作りが、お客様にとって「また行きたい」と思わせる店を実現する鍵となります。