店舗情報
店名 | Bar&Restaurant COCONOMA |
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住所 | 東京都港区西麻布1-11-6 ホテル&レジデンス六本木 1F |
業態 | イタリアン |
客単価 | ¥6,000~¥7,999 |
客席数 | 54席 |
訪問のきっかけ
西麻布の街を歩くたびに目に留まる「Bar&Restaurant COCONOMA」。事務所の近くなので、普段からそのモダンで洗練された外観デザインに興味がありながらもいってませんでした。今回は後輩がイタリアン行きたい!とのことで、インテリアデザインの勉強になりそうな店舗を探していて、Googleマップでの高評価を見てついに訪れることに。訪問を通じて、特に「ホテルの顔」と「レストランの顔」が見事に両立したファサードデザインに感銘を受けました。
ホテルとレストランの顔が融合したファサード
COCONOMAは、ホテル「ホテル&レジデンス六本木」の1階に位置しています。そのファサードデザインは、一般的な「ホテルの入り口」というイメージを大きく覆すものでした。
- デザインの特徴:
- モルタルの外壁とガラスの組み合わせにより、モダンでシックな印象を与える外観。
- ガラス越しに見えるラウンジ席の柔らかい照明が、街行く人々に「開かれた空間」を印象付けています。
- 隣接する店舗がカフェテラスで、全体として「街に溶け込むホテル」という印象を強調。
- ホテルとレストランの顔を両立させる設計:
- 一般的なホテルレストランは、宿泊者専用のような閉鎖的な印象を持ちがちですが、COCONOMAでは街とホテルの境界線を曖昧にすることで、宿泊者も外部訪問者も自然に受け入れることができています。
- レストランとホテルが対等な存在感を持つことで、「ホテルのためのレストラン」ではなく、「街とホテルをつなぐ場所」として機能しています。
ファサードから内部へ続く空間設計
外観から店内に足を踏み入れると、ファサードデザインで期待した「モダンさ」と「開放感」がそのまま空間全体に引き継がれていることを感じます。
- 空間構成の特徴:
- エントランスを抜けると受付と一体化したバーカウンターが目に入り、間接照明で照らされたバックバーがエレガントなアクセントに。
- バーカウンターからテーブル席、小上がりラウンジへと続く動線はスムーズで、利用者にストレスを感じさせません。
- 小上がりラウンジのユニークさ:
- 奥にある小上がりラウンジでは靴を脱いで過ごせる設計になっており、日本らしい「くつろぎ」を取り入れたスペースになっています。
- これにより、ホテルらしい高級感と、レストランの居心地の良さを同時に提供することに成功しています。
ホテルと街をつなぐ空間の魅力
COCONOMAには、宿泊者と外部からの訪問者が混在しており、どちらも自然に溶け込んでいました。このような状況を可能にしているのが、「開かれたファサード」と「多様な利用シーンに対応する空間設計」です。
- 訪れるお客さんの多様性:
- ホテル宿泊者が多い時間帯でも、外部客が訪れることに違和感のない雰囲気。
- 隣のカフェテラスとの連続性が、さらに外部客を引き込む効果を発揮しています。
- ホテルレストラン設計のヒント:
- ファサードデザインにおいて、ホテルの入口とレストランの入口が明確に分離されている必要はありません。むしろ、両方が同等に目立つ設計にすることで、外部訪問者を引き込みやすくなります。
- 街との接点を意識し、「開かれたデザイン」を取り入れることで、ホテル全体の認知度や利用率を向上させる可能性があります。
デザインの一部としてのサービスと価格
COCONOMAの接客は「ホテルらしい丁寧さ」が印象的で、スタッフの人数や動きも計画的に運営されている様子が見て取れました。
- サービスの特徴:
- 表では3~4人、キッチンにも2人ほどのスタッフで運営。表と裏の動線が交わらないため、店内は常に落ち着いた雰囲気が保たれています。
- 特に料理の提供時間については、多少の待ち時間がありましたが、空間自体の居心地が良いため、リラックスしながら待つことができました。
- 価格帯と利用シーン:
- 一人9000円程度という価格帯は、特別な日のディナーや接待にぴったり。2件目利用としてのバー利用にも適しています。
- ファサードデザインが「高級感」と「親しみやすさ」を両立していることで、この価格帯が受け入れられる環境を作り出しています。
インテリアデザイナーとしての学び
COCONOMAの設計には、これからホテルレストランを計画するインテリアデザイナーにとって学ぶべきポイントが多くあります。
- ファサードデザインの重要性:
- ホテルの顔とレストランの顔を両立させることで、宿泊者と外部訪問者を自然に引き込むデザインを実現。
- ガラスや照明を活用し、内部の雰囲気を外部にも伝える設計が鍵。
- 空間の連続性を意識:
- エントランスから奥まで、視線を誘導する動線設計が利用者の体験を向上させる。
- 和モダンや素材の選定で空間全体に統一感を持たせながらも、各エリアに独自の個性を持たせる。
- 街とホテルをつなぐ役割:
- 宿泊者だけでなく、街の人々も受け入れるオープンな設計が、ホテル全体の魅力を高める。
- 「街の一部」として機能するホテル設計が、特に都市部での成功の鍵となる。
まとめ ~ホテルの顔とレストランの顔を両立するCOCONOMA~
COCONOMAの魅力は、何よりも「ホテルの顔」と「レストランの顔」を見事に両立させたファサードデザインにあります。宿泊者だけでなく外部訪問者をも自然に引き込み、街とホテルをつなぐ場所として機能している点は、他の都市部ホテルが学ぶべき成功事例と言えるでしょう。
これからホテルレストランを計画する際、ファサードデザインの重要性を再認識し、街とのつながりを意識した設計を目指すことで、さらに多くの人に愛される空間を作り上げることができるはずです。