ROSSI東京 外苑前—設計者の視点から学ぶ、特別な空間作りのヒント【店舗デザイン研究】

はじめに—なぜ「ROSSI外苑前」へ?

いつものように、飲食店デザイン研究所のメンバーとディスカッションをしていた時、ふと「ROSSI外苑前」の名前が上がりました。青山グランドホテルの20階に位置するこのイタリアンレストラン。メンバーの一人が、「一度行ってみたかった場所だ」と言ったのをきっかけに、すぐに訪問が決まりました。飲食店オーナーとして、なぜこの場所に特別な期待感が抱かれたのかを探ってみたいと思います。

期待感が高まるエレベーター体験

青山グランドホテルのエレベーターに乗り込んだ瞬間、期待感がじわじわと膨らんでいくのを感じました。20階に向かって上昇する間、まるで特別な舞台に立つ準備が整っていくかのように、心の中で期待感が高まります。飲食店を設計する際にも、この「店に入るまでの期待感」をどう演出するかが大切です。エレベーターに乗り換えたり、眺望が広がる場所に導くプロセスが、訪れる人にとって一つのドラマになるような仕掛けが求められます。

オープンキッチンが生み出すライブ感

エレベーターを降り、店内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んできたのは、オープンキッチンの光景。シェフたちが生き生きと料理を仕上げている様子は、単なる食事以上の「体験」を提供してくれる重要な要素です。音、香り、視覚的なダイナミズムを活かすことで、顧客に「食べる」という行為を五感で楽しませることができます。

空間デザインが生み出す居心地の良さ

ROSSI外苑前の空間は、天井の高さや広々としたテーブル配置によって、非常に居心地の良い設計がされています。特に、窓からの夜景を楽しむことができるレイアウトが印象的で、東京の景色を眺めながらゆったりとした時間を過ごせる贅沢さがありました。また、カウンター席はシェフのライブ感を間近で体感できる作りになっており、視覚的にも動きのある設計が秀逸でした。

スタッフのサポートとコース料理の提供

席に着いた後、コース料理のメニューを選んでいると、ホールスタッフが丁寧なアドバイスをしてくれました。迷っている私たちに、「こちらのメインがおすすめですよ」と提案してくれたのは、非常にありがたいサービスでした。さらに、ワインもボトルで注文し、三人でシェアして飲むことに。ホールスタッフがしっかりとサポートしてくれることで、食事全体の満足感が高まります。

スタッフの気配りと注意点

一方で、ホールスタッフが近くにいるにもかかわらず、こちらから「すみません!」と声をかけないと気づいてくれない場面がありました。おそらく、サービスカウンターが客席を背にしていることが原因で、視覚的に顧客の状況を把握しにくくなっていたのではないかと感じました。細やかなサービスが求められる高級レストランでは、この点は改善の余地があるかもしれません。

会計とコストパフォーマンスの考察

最終的な会計は35530円。三人での食事だったため、一人あたり約11843円というコストです。高級感漂う空間、オープンキッチンのライブ感、そして美味しいコース料理とワイン。この内容でこの価格なら、コストパフォーマンスは高いと感じました。特別な夜を過ごす場所として、しっかりとした価値を提供してくれました。

まとめ—飲食店オーナーへのメッセージ

ROSSI外苑前での体験を通じて、空間作りの重要性サービスの質の向上が、店舗の成功においていかに重要かを改めて感じました。顧客が店に足を踏み入れる前から、退店するまでの間、全てが一つの「物語」としてデザインされていることが、顧客にとっての満足感に繋がります。

これから飲食店を作るオーナーさんには、店舗デザインが生み出す体験の力をぜひ意識してほしいと思います。空間設計、オペレーション、サービスのすべてが調和した時、初めて顧客にとって「忘れられない場所」となるのです。

店舗情報

店名 ROSSI外苑前
住所 〒107-0061 東京都港区北青山2丁目14−4 ジ アーガイル アオヤマ 20F GRAND HOTEL
業態 イタリアン
客単価 12000〜15000円
客席数 40席

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