物件情報
| 住所 | 東京都新宿区神楽坂3-6 神楽坂3丁目テラスⅡ 5F |
|---|---|
| 周辺環境 | 商業立地 |
| 竣工時期 | 2025.08 |
| 店舗面積 | 43.01㎡(13.01坪) |
| 厨房面積比率 | 21.87% |
| 席数 | 17席 |
| 席数/坪 | 1.30(厨房除いた割合) |
| 全体予算 | 1200~1400万円(厨房除く) |
| 客単価 | 5~6000円 |
| 月商 | 200~300万円(想定) |
どのように飲食店デザイン研究所を知ったか

なぜ、飲食店デザイン研究所に依頼をしたか
オーナーは独立を決意し、デザイン事務所を探す過程で当研究所を知った。きっかけはネット上のコンペサイト。
複数社に提案を依頼し、面談も行った。その中には知人から紹介された業者も含まれていたが、最終的に「他社と明らかに違うデザインアプローチ」を提示した当研究所を選んでいただいた。
ポイントは「世界観の打ち出し方が分かりやすかったこと」。ただ格好いいデザインではなく、街の文脈とお店の個性をどう差別化するか、具体的な提案があったからだ。
- 出会いはネットのコンペサイト
- 複数社比較し、最終的に差別化されたデザイン提案が決め手
- 「街に馴染みながら異彩を放つ」設計が評価された
どのようなお店を目指すか

店名は BAR BRUMMELL(バー ブランメル)。
由来は18世紀ロンドンで「ダンディズムの象徴」と呼ばれたボー・ブランメルから来ている。派手な装飾を嫌い、シンプルかつ洗練された英国紳士スタイルを確立した人物だ。
オーナーは神楽坂の有名バー「JUG」で経験を積み、次は自分の名前で勝負するタイミングに入った。目指したのは「神楽坂に英国のオーセンティックな空気を持ち込むこと」。
和のイメージが強い街にあえて英国スタイルを打ち出すことで、「ここにしかない一軒」をつくる狙いがあった。
- 英国紳士文化をコンセプトに
- 神楽坂の和風イメージに逆張りで差別化
- 「ここにしかない一軒」として記憶に残す
飲食店デザイン研究所の提案内容

物件状況、街の周辺環境を見て注意したこと
神楽坂は、和食店や料亭、落ち着いた日本酒バーなどが多いエリア。そのため、同じ路線で勝負しても埋もれてしまう可能性が高い。
そこで当研究所は、飲食店では避けられがちな寒色系・ブルーをあえて採用。
暗めの空間に映えるブルーは、照明の当たり方によって深いコバルトブルーにも見え、英国の重厚な雰囲気を漂わせる。
オーナー自身のイメージは最初は「ぼんやり」しており、他社の提案を含め、いろんな方向性を見比べていた。
そこに「英国を一瞬で感じる色」を提示したことで、一気に具体化が進んだ。
- 神楽坂の和の街並みに「英国ブルー」で差別化
- オーナーの漠然としたイメージを具体化
- 照明効果で色の深みを演出し、印象を強める
要望を受けて、何を一番ベストな提案だと考えたか

当初のオーナー要望は「格好いいバーを作りたい」という漠然としたものだった。
そこで我々が重視したのは「パッと見て英国バーと分かること」。
多くのバーが暗めの木調や黒を基調にする中、ブルーを全面に押し出したことで、強烈に差別化できた。
さらに「英国クラシカル」を連想させるアーチや花柄の壁紙なども提案。オーナーの頭の中で散らばっていたイメージが、次第に一つの方向にまとまっていった。
- 他社との差別化を意識
- 色と形で英国バーを明快に表現
- オーナーの要望を整理し、統合的に具体化
具体的な提案内容

コンセプトストーリー
「神楽坂でロンドンを味わう。英国紳士の隠れ家バー」
非日常性を強調しつつ、街の品格と調和する世界観を設計。
マーケット的な視点
- 客単価5,000〜6,000円
- 席数17で月商200〜300万を想定
- 高回転よりも「滞在時間を楽しむ設計」に重点
建築的な視点
- 天井が低い → ローカウンターを採用し圧迫感を緩和
- 視線誘導を意識 → 入り口から奥へと進みたくなる動線設計
プランについて
- 4案提示し、オンラインで議論
- 最終的に「一度アプローチを挟む奥行き感」を持つC案をベースに決定
- 窓際に半個室を設け、夜景を活かす
厨房計画とオペレーション
- バーテンダー2人の立ち位置を想定し、ミリ単位でバックバーのグラス棚を調整。
- 高さだけでなく、左右の取りやすさまで検証。
- バックバー下部のストック量も事前に算出し、無駄なく収まる寸法を設定。
- 照明は顔を適度に照らしつつ、客にグレアを与えないよう調整。
視点のデザイン
- SketchUpでシークエンスを何度も検証。
- 奥へ進みたくなるように鉄格子を配置。
- プライベート感を強めつつ、視認性を確保。
コストコントロール
- 鉄格子は既製品をネットで調達し、人件費を削減。
- 光が当たる場所は質感重視の素材、当たらない床は機能性重視でコストを抑制。
完成後の店舗を徹底検証。「人の集まるデザイン」のノウハウ

入りたくなるデザインとは?
5Fという空中階の弱点をSNSで補完。
バルコニーを活用して「光のたまり」を演出し、写真映えする仕掛けを施す。
また来たくなるデザインとは?
ブルーと金のクラシカルな世界観が統一され、リピートにつながりやすい。
さらにバーテンダーの接客力と相まって「体験としての満足度」が高まる。
行きたくなるデザインとは?
インテリア写真と「人のいる雰囲気」をSNS発信することで、行きたい気持ちを刺激。
空間と人の魅力を掛け合わせた発信が、集客の肝となる。
オープン後、人気店のカギとなる集客力

どんなこだわりが隠されているか
空間へのこだわり
- ブルー基調に金のモールディングを加えたクラシックな内装
- 花柄壁紙や絨毯が英国感を演出しつつ、現代的にアレンジ
サービスへのこだわり
- バックバーの棚割りは、動線と視認性を徹底的に調整
- グラスやボトルの配置まで「取りやすさ×見せ方」を両立
立地とコスト
- 神楽坂の大通りから一本入った新築ビル5F
- バルコニーが視覚的なアイキャッチとなり、立地の弱点を補う
売上はいくらなのか?
- 席数・客単価・回転率を踏まえ、月商200〜300万円を想定
- 小規模でも収益性を確保できる設計モデル
実際に行った人の口コミ
- 「神楽坂JUGの元店長が独立。雰囲気も接客も抜群」
- 「ロンドンに旅したような空気感」
- 「カクテルと会話、すべてが特別な時間だった」
まとめ ― 集客とデザインの実例から学ぶこと

BAR BRUMMELL の事例は、飲食店デザインの本質を示している。
それは「単なる見た目の装飾ではなく、経営戦略そのもの」ということだ。
- 差別化された世界観 → 集客力の源泉
- 厨房動線の最適化 → サービス品質と回転率の安定
- コストコントロール → 投資回収スピードを高める
このバーは、13坪という小規模ながら月商200〜300万円を狙える設計になっている。
飲食店オーナーにとって重要なのは、「限られた条件下で最大の成果を出すデザイン」だ。
今回のBAR BRUMMELL の事例は、 入りたくなる・また来たくなる・行きたくなるデザイン がどう実現されるかを具体的に示す好例といえる。























