店舗概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | LOUANGE TOKYO 六本木店 |
| 住所 | 〒106-0032 東京都港区六本木7丁目10−4 福一ビル 1階 |
| 業態 | 高級パティスリー(ケーキ・エクレア) |
| 客単価 | ¥10,000~¥14,999(ギフト需要中心) |
| 客席数 | 0席(テイクアウト専用) |
六本木という立地で「高級パティスリー」という業態を成立させるには、単に美味しいスイーツを用意するだけでは足りません。LOUANGE TOKYOは、その空間デザイン、接客スタイル、商品パッケージまで、すべてがブランドの物語を語る装置になっています。今回は、実際に六本木店を訪れた体験をもとに、設計者の視点でその魅力と運営戦略を分析します。
移転で変化したファサードとブランド印象
LOUANGE TOKYOは、フランス語で「賛辞」を意味し、贈る人と贈られる人の心に残る瞬間を演出することを理念としています。かつて西麻布寄りの路地裏にあった頃は、ひっそりとした佇まいと重厚感が特徴でした。外観はまるで高級ブティックやアパレルショップのようで、通りがかりにふらっと入るよりも、目的を持って訪れる人が多かった印象です。
現在の六本木店はミッドタウン側へと移転し、外観はより洗練された「入りやすさ」を感じさせる方向にシフト。大通りに近く、明るくクリーンなデザインは初めての人にも安心感を与えます。その反面、以前の“特別感”や緊張感はやや和らいでおり、ブランド戦略として間口を広げる選択をしたことがうかがえます。
ポイントまとめ
- 移転で外観は明るく開放的になった
- 隠れ家感よりも入りやすさを優先
- 高級感を保ちながら客層の幅を広げる意図
店内はスイーツの美術館

扉を開けた瞬間、空間はまるでジュエリーショップのような非日常感に包まれます。ライトグレーの壁、磨かれた床、中央に据えられたガラスのショーケース。その中には色鮮やかなエクレアやケーキが宝石のように整然と並びます。
特筆すべきは照明計画です。スポットライトがスイーツに立体的な陰影を与え、表面の艶や質感を最大限に引き出しています。これは宝飾品のディスプレイと同じ手法で、視覚的な高級感を演出するうえで非常に有効です。
奥には厨房があり、一部が客側から見える設計。これにより「この場で作られている」という信頼感が生まれます。空間全体が「スイーツのための舞台」であり、スタッフの動きや陳列までが一つのショーとして成立しています。
ポイントまとめ
- 内装は完全にジュエリーショップ仕様
- 照明は宝飾ディスプレイの手法を採用
- 厨房を部分的に見せることでライブ感と安心感を演出
オペレーションに見る少人数運営の可能性
訪問時、表で接客をしていたのは1名のみ。裏には製造スタッフが2名ほどいる様子でしたが、客席がないためホール業務は不要です。この構造は「高単価×少人数オペレーション」を可能にしています。
テイクアウト専門店の場合、客の滞在時間は短く、ピーク時以外は接客の負荷が小さいため、最小限の人員で十分です。また、高単価な商品は1人あたりの売上が大きく、少人数でも売上効率が高まります。包装や会計の待ち時間も、ブランドの世界観を体験する時間として成立しているのがポイントです。
ポイントまとめ
- 客席ゼロで人件費を大幅削減
- 高単価商品のため少人数でも売上を確保
- 待ち時間すらブランド体験に変換
デザインと価格戦略のリンク
今回の購入額は5,000円程度。一般的なケーキ店ではかなり高額ですが、LOUANGE TOKYOではむしろ適正価格に感じられます。これは、店舗空間とパッケージの力が大きいでしょう。
高級ブランドのような店舗デザインは、価格を正当化する説得力を持ちます。さらに、厚みのある高品質なパッケージ、商品そのものの造形美が「特別な贈り物」としての価値を高めています。結果として、顧客は単なるスイーツではなく「贈る体験」を購入していると感じます。
ポイントまとめ
- 空間デザインが価格の説得力を生む
- 高品質なパッケージで付加価値を上乗せ
- 商品の美しさが贈答用としての魅力を強化
設計者が見る学びポイント

LOUANGE TOKYOの事例から、飲食店開業予定者が学べることは多くあります。
- ブランド世界観の一貫性店舗外観から内装、パッケージ、接客に至るまで、すべてが同じ物語を語っています。一部だけを豪華にしてもブランド力は成立しません。
- オペレーションと空間計画の一致厨房の見せ方や動線計画は、接客人数や作業効率に直結します。LOUANGEは最小人員で高い顧客満足度を維持する設計がなされています。
- 価格戦略とデザインの相互作用高価格帯の商品は、それに見合う空間とサービスが不可欠です。空間は単なる背景ではなく、価格を支える重要な要素です。
ポイントまとめ
- 世界観を守るデザインが高単価を可能にする
- 動線と視覚演出でオペレーション効率を高める
- デザインは価格戦略とセットで構築すべき
この記事をまとめると、LOUANGE TOKYO 六本木店は「高級感を保ちながら間口を広げる」という進化を遂げた店舗です。空間、商品、接客が一体となり、顧客はスイーツそのものではなく「贈る体験」を買っている。この視点は、飲食店を開業しようとするオーナーにとって、価格設定や空間演出の参考になるはずです。
























