広尾の「ブラチェリーア ロトンド」に学ぶ、飲食店デザインと運営の成功ポイントと課題
六本木や表参道など高級エリアが立ち並ぶ渋谷区の一角、広尾にある「ブラチェリーア ロトンド(Braceria Rotondo)」は、イタリアのピッツェリアを彷彿とさせるカジュアルなイタリアンレストランです。今日は、ここでの体験を通じて、これから飲食店を立ち上げようとするオーナーが学べる店舗デザインや運営の工夫、メリットやデメリットについて詳しく解説します。
「ブラチェリーア ロトンド」を訪問した理由と広尾エリアの特色
広尾で偶然見かけたピザの仮装をしたスタッフが目を引き、この店に足を運ぶことにしました。広尾の街は特に外国人が多く、インターナショナルな雰囲気が漂っています。このような特性を活かしたブラチェリーア ロトンドは、外国人客や地元の人々に人気です。
エリア選びのポイント:新規出店を計画する際は、広尾のように地域の特性を活かせるかどうかを考えることが重要です。ターゲット層が店舗の立地や雰囲気に合っていることで、集客力が増し、リピーターの確保にもつながります。
店頭デザインと導入部での視覚的な引き込み効果
店頭と1階オープンフロアの魅力
「ブラチェリーア ロトンド」の1階は、全面オープン可能なフロントサッシを採用し、窓が全開放できるデザインとなっています。外からも店内の様子が見えるため、気軽に立ち寄りやすい雰囲気があり、奥にはピザ窯が見え、イタリアの街角にあるピッツェリアのような空間が広がります。このデザインが通行人の目を引き、入店動機を作りやすくしています。
メリット:フルオープンの窓は、通りからの視認性が高く、特に混雑する広尾の路地では通行人に対して強い訴求効果があります。ピザ釜のあるオープンキッチンが「焼きたて」の期待感を演出し、食欲をそそる視覚的なインパクトを持っています。
デメリット:フルオープンの窓設計は、夏や冬の気温差により、空調費用が増加する可能性があります。また、店舗内の音が外に漏れやすく、騒音対策が必要な場合もあります。
設計のポイント:店舗を計画する際は、オープンで開放的なデザインが効果的なエリアかどうか、さらに天候や騒音対策も含めたコストを考慮することが重要です。
店内デザインとレイアウトの工夫
空間デザイン—イタリアの本場感とカジュアルさ
店内は白を基調に、ピザ窯やテラコッタ風の床タイルが配され、イタリアの街角にいるような雰囲気。1階のフルオープンフロアの手前にはカウンター席があり、テラス風に楽しめます。2階にはテーブル席が並び、トイレも配置されているため、カジュアルなレイアウトが広がります。
メリット:シンプルで親しみやすいデザインは、外国人客やカジュアルな食事を楽しむ若年層にとって居心地が良く、自然と長居できる雰囲気を作ります。また、広尾の外国人客に人気のある「イタリア本場の雰囲気」を忠実に再現し、異国情緒を提供している点も高評価。
デメリット:2階にテーブル席とトイレがあるため、少人数のスタッフで対応する際には、フロア間の移動が多く、オペレーションに手間がかかる可能性があります。
設計のポイント:フロア分けのレイアウトを採用する場合、スタッフの動線を短くする工夫が必要です。さらに、本場の雰囲気を持たせる際には、内装材やインテリアにこだわることで、顧客満足度をさらに向上させられます。
メニュー構成—親しみやすさと特別感の両立
メニューの魅力と構成
「ブラチェリーア ロトンド」のメニューには、イタリア語で記載された聞きなれない料理が並び、訪問時にはスタッフにメニュー内容を尋ねながら選ぶ楽しみがありました。この「選び方の楽しみ」が、顧客の体験をより豊かにしています。
メリット:一般的なピッツェリアメニューに加え、珍しいイタリア料理を提供することで、料理そのものがエンターテインメント性を持ち、顧客に新鮮な体験を提供します。スタッフの丁寧な説明で、料理内容をしっかりと伝えられるのも、顧客満足に繋がっています。
デメリット:珍しいメニューが多い場合、オペレーションに慣れないスタッフが説明に時間をかけすぎてしまう可能性があります。また、料理が好みや口に合わないと感じるリスクもあります。
計画のポイント:独自性を持たせるために工夫する際、メニューの説明を充実させることが重要です。ポップや写真メニューの導入などで、忙しい際の説明負担を軽減する対策も有効です。
ドリンクメニューの選定—ワインサーバーの活用
ワインセラーとディスプレイ
ブラチェリーア ロトンドでは、店頭にワインセラーを兼ねたサーバーを設置し、冷蔵状態でワインをディスプレイしています。自動サーバーのように利用することで、ワインを選びやすく、見栄えも良い配置となっています。
メリット:冷蔵機能付きワインセラーは、ワインを適温で提供でき、ディスプレイとしても視覚的に効果的。ワインが目に留まりやすく、来店客に「ワインの豊富な店」という印象を与えやすくなります。
デメリット:特に飲食店初心者の方にとっては、こういった専門機材の導入は高コストとなる場合があります。また、ワインに関する知識がないと、せっかくのサーバーを効果的に活用しきれない恐れもあります。
計画のポイント:自動ワインサーバーやディスプレイセラーの導入を検討する際は、予算や専門性を加味しつつ、適材適所で効果的に配置することが大切です。
スタッフとオペレーションの工夫
多フロア店舗でのオペレーション
2フロア構成で、スタッフが3名体制で運営しているため、賑わってくると提供に少々時間がかかります。とはいえ、フロア間で効率的な動線が確保されているため、混雑時もスムーズなオペレーションが実現しています。
メリット:少人数での運営でも、効率的なフロア配置で動線がスムーズ。オープンキッチンからの配膳で、スタッフの負担を最小限に抑えています。
デメリット:2フロアに分かれることで、フロア間の移動時間が増え、スタッフが少ない場合にはサービスの質が落ちる可能性もあります。また、オープンキッチンは調理音が漏れやすいため、静かに過ごしたい顧客には少し騒がしく感じられる場合も。
計画のポイント:多フロア構成を選択する場合は、動線を短く設計し、オープンキッチンの音対策も考慮することが肝心です。
コストパフォーマンスと価格設定
ブラチェリーア ロトンドでの会計は、3人で14,543円、2.5人分で換算すると1人あたり約5,800円。広尾の立地や提供される料理の質を考えると、妥当な価格と感じられ、リピートしたいと感じる満足度でした。
メリット:地域特性に合わせた価格帯とボリューム感で、顧客に「高いけれど満足できる」という印象を与えることができています。
デメリット:高価格帯の設定は、リピーターのハードルを上げる可能性もあります。また、カジュアルなイメージと価格のバランスが難しいため、適切な価格設定が必要です。
計画のポイント:地域特性や顧客層に合わせて価格設定し、満足度が価格に見合うように工夫することが重要です。
まとめと学び
「ブラチェリーア ロトンド」での体験から学べる、飲食店計画時のポイントは以下の通りです:
- エリアの特性に合わせたデザインと接客外国人が多く訪れる広尾の特性に合わせ、本場イタリアの雰囲気を再現することで、多くの顧客に親しまれています。
- 視覚的効果を活用した店頭デザインフルオープンのフロントデザインとピザ窯の配置により、道行く人の目を引き、入店動機を作りやすくしています。
- スタッフの動線と効率的なオペレーション多フロアを活かした設計で、少人数でもスムーズに運営できるオペレーション計画が施されています。
- コストパフォーマンスと価格設定客単価と満足度のバランスを整えることで、リピーターも増えやすい環境が整っています。
店舗情報
店名 | ブラチェリーア ロトンド (Braceria Rotondo) |
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住所 | 東京都渋谷区広尾5-19-6 |
業態 | ¥8,000~¥9,999 |
客単価 | ¥8,000~¥9,999 |
客席数 | 23席 |