【店舗デザイン視察】CarneSio 158|”暗さ”をデザインする。海外ステーキハウスの世界観を巧みに再現した空間づくり

項目 内容
店名 CarneSio 158
住所 大阪府大阪市北区芝田1-7-2 阪急かっぱ横丁 1F
業態 ステーキ・イタリアン
客単価 ¥6,000〜¥7,999
客席数 42席

高架下で異彩を放つ、海外ステーキハウスのような一軒

休日に家族で利用できるステーキレストランを探していた際に訪れたのが「CarneSio 158」。

大阪・梅田の阪急かっぱ横丁という高架下の飲食街にありながら、一歩足を踏み入れると海外のステーキハウスを思わせる世界観が広がる人気店です。

今回注目したのは、内装の豪華さではなく、「照明・素材・動線」によってブランドの世界観をつくり上げている点でした。


ファサードは”世界観の入口”

店舗の前に立った瞬間、まず目に飛び込んでくるのはレンガの壁面とピンクのネオンサイン。

高架下という雑多な環境だからこそ、このファサードは強いアイキャッチとなり、歩行者に「ここだけ違う」という印象を与えています。

派手に装飾しているわけではありません。

レンガという重厚感のある素材に、遊び心のあるネオンサインを組み合わせることで、クラシックさとカジュアルさを絶妙なバランスで共存させています。

この時点で、「今日は少し特別な食事を楽しめそうだ」という期待感を自然に生み出しています。

店舗デザインにおいて、ファサードは単なる入口ではなく、お客様の期待値を高める最初のプレゼンテーションであることを改めて感じました。


照度ではなく”雰囲気”を設計する照明計画

店内で最も印象に残ったのは照明計画です。

日本の飲食店では、料理を美味しく見せるためにダウンライトをテーブルの真上へ配置するケースが一般的です。

しかしCarneSio 158では、その常識をあえて外しています。

各テーブルにはスタンドライトのみを配置し、料理やテーブル面だけを柔らかく照らす構成。

天井照明を極力抑えることで、店内全体にはほどよい暗さが生まれています。

この暗さが、レンガや木、レザーといった素材の質感をより際立たせ、海外の老舗ステーキハウスを思わせる空気感を演出しています。

照明とは空間を明るくする設備ではなく、「どこを見せ、どこを隠すか」をコントロールするデザイン要素であることを改めて実感しました。


素材を増やさず、素材を活かす

内装に使われている素材は決して多くありません。

レンガ、木、ブラウンレザー、間接照明。

この4つを軸に空間全体を構成しています。

だからこそ素材同士がぶつからず、それぞれの質感が際立っています。

最近は異素材を組み合わせる店舗も増えていますが、素材を絞ることでブランドイメージに一貫性が生まれる好例と言えるでしょう。

余計な装飾に頼らず、「素材そのものがインテリアになる」設計思想が感じられました。


オペレーションから逆算したレイアウト

店内は入口付近にカウンター席、その奥にテーブル席と個室を配置するシンプルな構成です。

一見するとオーソドックスですが、実際にスタッフの動きを見ていると、このレイアウトの合理性がよく分かります。

カウンターを中心にサービス動線が組まれているため、料理提供や片付けの移動距離が短く、スタッフの無駄な動きがほとんどありません。

42席という客席数に対してスタッフは約6名。

店内はほぼ満席でしたが、サービススピードが落ちることはなく、非常にスムーズなオペレーションでした。

デザインは見た目だけでなく、「働きやすさ」まで設計されて初めて完成すると改めて感じます。


幅広い客層を受け入れる空間設計

来店客は20代〜40代を中心に、カップル、夫婦、家族連れ、グループ利用まで非常に幅広い構成でした。

2名利用から8名程度まで対応できる席構成になっているため、曜日や時間帯によって利用シーンが変わっても柔軟に対応できます。

「誰でも来やすい」のではなく、「どのシーンでも使いやすい」。

この違いが繁盛店をつくる大きなポイントだと感じました。


料理・ワイン・空間が一つのブランドになる

今回はコース料理をいただきました。

焼きたてのパンは食べ放題。

前菜からメインまで品数も多く、ボリュームもしっかりあります。

メインがステーキだけではなくチキンまで提供される構成は満足度が高く、価格以上の価値を感じました。

さらに印象的だったのはワインの品揃え。

単に種類が多いだけではなく、「肉を美味しく食べるための店」というブランドコンセプトがドリンクメニューからも伝わってきます。

料理だけでも、空間だけでもなく、その両方がブランド体験として成立している点が、この店舗の強みだと感じました。


飲食店デザイン研究所としての考察

CarneSio 158は、高価な素材や派手なデザインで魅せる店舗ではありません。

しかし、

「どんな気分で食事をしてもらいたいか」

という体験設計が、空間全体に一貫して落とし込まれています。

特に参考になったのは、照明の使い方です。

日本では”明るく見せる”ことが正解になりがちですが、この店舗は“暗さを価値に変える”ことでブランドを確立しています。

照度を下げることで視線を料理へ集め、レンガや木の質感を引き立て、会話を楽しむ落ち着いた時間を演出する。

これは照明計画が単なる設備計画ではなく、ブランディングそのものになっている好例と言えるでしょう。

また、ファサードから店内、料理、ワイン、サービスまで世界観がぶれることなく統一されている点も高く評価できます。

飲食店は内装だけでは繁盛しません。

しかし、ブランドコンセプトを空間・照明・オペレーション・サービスまで一貫して設計することで、お客様の満足度は大きく向上します。

CarneSio 158は、そのことを改めて教えてくれる一軒でした。


デザイン視察ポイント

  • レンガとネオンサインによる印象的なファサードデザイン
  • “暗さ”を価値に変える照明計画
  • 素材数を絞ることで世界観を統一したマテリアルデザイン
  • スタッフの動きを最適化した効率的なレイアウト
  • 料理・ワイン・空間・サービスを一体化させたブランド設計
  • 「食事をする場所」ではなく、「食事体験を提供する場所」として完成度の高い空間デザイン

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