東京 銀座まる市監修の「味処 あさごや」:飲食店経営者が学ぶべきポイント【店舗デザイン研究】

はじめに

飲食店の成功には、立地やメニューの工夫、スタッフのサービス力など、さまざまな要素が関わっています。今回、私は西麻布の会社の近くにある麻布十番で、新人デザイナーとともに食事をするために、Googleマップで検索して見つけた「味処 あさごや」に足を運びました。このお店は、銀座の名店「まる市」の総料理長と大女将が監修し、その伝統的な料理を麻布十番でリーズナブルに提供していると評判です。

さらに、2023年8月21日発売の東京カレンダー10月号にも掲載され、注目度が一層高まっていることもあり、今回の訪問を決意しました。この記事では、私が実際に訪れた「味処 あさごや」の体験を基に、飲食店経営者に向けて有益なヒントを提供します。

銀座「まる市」と「味処 あさごや」の背景

名店の監修によるブランド力

「味処 あさごや」は、すっぽんやフカヒレを得意とする銀座の「まる市」が監修したお店です。「まる市」の総料理長と大女将の長年の経験が詰まった料理が、麻布十番というロケーションでリーズナブルに提供されるという点が、まず注目すべきポイントです。このように、ブランド力を持つ店舗が新たな場所でリーズナブルにサービスを展開することで、既存のファン層を取り込みつつ、新たな顧客層の開拓にも成功していると考えられます。

また、2023年8月21日発売の東京カレンダー10月号でも、「味処 あさごや」が紹介されており、銀座「まる市」の伝承料理が麻布十番で楽しめるお店として評価されています。このようなメディア露出も、ブランド力を高める重要な要素です。

店を選んだ理由と訪問のきっかけ

口コミの力と立地選びの重要性

今回、「味処 あさごや」を訪れた理由は、西麻布の会社の近くにある麻布十番で、新人デザイナーとともに食事をするためでした。和食の居酒屋が少ないエリアで、麻布十番方面で探し始めたところ、Googleマップで口コミが良い「味処 あさごや」を見つけました。口コミの力は絶大で、特に食事場所を選ぶ際には、多くの人が口コミを参考にします。このように、口コミでの評価を高めることが、店舗運営において重要な要素となるのです。

店頭と入店時の印象

閑静な路地に佇むカジュアルで伝統的なファサード

麻布十番は、静かで落ち着いた雰囲気の中に隠れ家的なお店が点在しており、そうしたエリアの特徴も、訪問のきっかけとなりました。「味処 あさごや」は、閑静な路地に位置しており、カジュアルさと伝統的な雰囲気が感じられるファサードデザインが印象的でした。古くからありそうな外観は、地域に溶け込んだ店舗としての安心感を与えています。

活気あふれるオープンキッチンの魅力

店内に入った瞬間、まず目に飛び込んできたのは、活気あふれるオープンキッチンです。4人ほどのスタッフが調理をしており、その様子が店舗全体にエネルギーを与えていると感じました。オープンキッチンの設計は、お客さんとの距離感を縮め、料理が作られる過程を見せることで信頼感を醸成する効果があります。

店内の空間デザインとレイアウト

素材の選び方と仕上げの工夫

私はカウンター席に座りましたが、そのカウンターの天板に使用されていたなぐり仕上げの木材に目を奪われました。このような素材の選び方や仕上げの工夫は、店内の雰囲気に独自の個性を加え、他店との差別化を図る要素となります。飲食店経営者が空間デザインを考える際には、こうした細部にこだわることが、店舗の魅力を高める鍵となります。

限られた空間でのプランニング

「味処 あさごや」の店内は、左側にオープンキッチン、右側に座敷のテーブル席が並ぶレイアウトになっており、いわゆる「うなぎの寝床」のような細長い物件です。このような限られた空間でのプランニングは、飲食店経営者にとって大きな課題となりますが、シンプルながらも機能的なレイアウトは、スペースを有効に活用し、快適な空間を提供するための重要な要素です。

店内の状況とお客さんの層

ファミリー層にも愛されるカジュアルな雰囲気

訪問時、カウンター席には8名ほど、テーブル席には6名ほどのお客さんがいましたが、最終的にはカウンター席も含めて9名ほどで埋まっていました。お客さんの層は、家族連れのファミリーが見られ、カジュアルに使えるお店としての評価が高いことがうかがえます。飲食店経営において、ターゲットとなる顧客層を明確にし、そのニーズに応える空間やサービスを提供することが重要です。

メニューの多様性と料理の質

看板メニュー「あさごや名物 土鍋おこげご飯」

メニューの中でも特に注目したいのは、「あさごや名物 土鍋おこげご飯」です。この料理は中華料理からヒントを得たもので、あさごや特製のコラーゲンたっぷりのフカヒレ餡や鶏白湯餡、トリュフ餡、きのこクリームなど、その日の気分に合わせて選べる点が魅力です。独自性のあるメニューが看板料理として設定されていることは、店舗のブランディングに大きく寄与します。

厳選された食材を使用した卵料理と海鮮

青森県産の「十六代真っ赤卵」を使用した卵料理も見逃せません。濃厚な黄身の色が見た目にもインパクトがあり、味わいも他の卵と一線を画すものです。また、青森県大間漁港から直送された新鮮な海鮮を使った料理も、見逃せないポイントです。このような厳選された食材を使った料理は、顧客に特別感を提供し、付加価値を感じさせる要素となります。

ドリンクメニューの充実とサービスの工夫

料理とのペアリングで体験価値を高める

ドリンクメニューも「味処 あさごや」の魅力の一部です。居酒屋という業態にふさわしく、幅広い種類のドリンクが用意されており、お酒好きの方にも満足してもらえるラインナップが揃っています。特に日本酒や焼酎の選定が充実しており、料理との相性も抜群です。飲食店経営者にとって、ドリンクメニューの充実は、客単価の向上につながる重要な要素です。

スタッフの動きと接客の質

効率的なオペレーションと役割分担

「味処 あさごや」のスタッフは6名で運営されており、小規模な店舗としては多めの人数です。
カウンターからの提供がメインとなっており、座敷の席のみホール対応しているスタイルが印象的でした。また、スタッフの手際の良さと慣れた様子が見受けられ、厨房オペレーションがしっかりと統制されていることがわかります。飲食店経営者にとって、こうしたオペレーションのスムーズさは、顧客の待ち時間を減らし、快適な食事体験を提供するために重要です。

コストパフォーマンスと価格設定

ブランド力を活かした適正価格の提供

「味処 あさごや」での会計は、23000円でした。居酒屋としては少し高めの価格設定に感じましたが、銀座「まる市」のブランド背景を考慮すると、妥当な価格だと感じました。高品質な食材を使用し、丁寧に調理された料理を提供することで、顧客はその価格に見合った価値を感じることができます。

また、2023年8月21日発売の東京カレンダー10月号でも、この価格設定が「銀座の名店の味を麻布十番で手頃に楽しめる」という評価を受けており、価格と価値のバランスが取れた店舗運営の成功例として紹介されています。

リピーター獲得のための施策

再訪意欲を高める看板料理と特別な体験

最後に、私が「味処 あさごや」に再訪したいと感じた理由についてお話しします。看板料理である「あさごや名物 土鍋おこげご飯」を食べなかったため、次回はぜひそれを試してみたいと思いました。飲食店経営者にとって、リピーターの存在はビジネスの安定に不可欠です。顧客がまた来たいと思う理由を提供すること、そしてその理由を強化していくことが、店舗運営において重要な戦略となります。


まとめ:飲食店経営者へのヒント

「味処 あさごや」の体験を通じて、飲食店経営者にとって参考になるポイントを以下にまとめます。

  1. ブランド力を活かした店舗展開: 銀座「まる市」のような名店の監修を受けることで、ブランド力を活かしながら新たな店舗を展開することができます。これにより、既存のファンを取り込みつつ、新たな顧客層の開拓にも成功する可能性が高まります。
  2. 口コミと立地の重要性: 店舗選びの際に口コミが重要な役割を果たします。また、静かなエリアに位置することで、隠れ家的な魅力を打ち出し、特別な体験を提供することが可能です。
  3. 空間デザインと素材の工夫: カウンターの天板に使用されていたなぐり仕上げの木材のように、素材や仕上げにこだわることで、店舗の個性を強調し、他店との差別化を図ることができます。
  4. 多様なメニューと高品質な食材: 多様なメニューと高品質な食材を提供することで、リピーターを増やすことが可能です。特に、特定の料理が看板メニューとして存在することは、再訪意欲を高める要素となります。
  5. 効率的なオペレーションとスタッフの教育: スタッフの動きや接客の質を高めることで、店舗全体のオペレーションを効率化し、顧客に快適なサービスを提供することができます。
  6. 適正価格とコストパフォーマンス: 高品質なサービスと食材を提供することで、適正価格での提供が可能となります。これにより、顧客はその価格に見合った価値を感じ、満足度が向上します。
  7. リピーターの獲得: 顧客に再訪したいと思わせる理由を提供することが、リピーター獲得につながります。看板料理や特別な体験を通じて、顧客との関係を深めることが重要です。

「味処 あさごや」での体験は、飲食店経営において成功するための多くのヒントを提供してくれます。この記事を参考に、あなたの店舗運営にも活かしていただければ幸いです。

関連記事

  1. 「すみませーん!」を言わせないプランの作り方

  2. パン屋、ケーキ屋、惣菜屋などの食品物販店は、飲食店と物販店の…

  3. 東京 西麻布「博多もつ衛門」に学ぶ—飲食店づくりを事業として…

  4. 都会の隠れ家で楽しむ新鮮食材とアットホームな空間DESERT…

  5. 自然から学ぼう!あなたが綺麗だと感じるカラーリングを保存する…

  6. 飲食店の美味しい料理の見せ方!料理とお皿とテーブルのコーディ…

無料見積もり・ご相談

飲食店デザイン研究所

無料見積もり・ご相談