なぜ訪れたのか?その動機
恵比寿に住む事務所スタッフに、感度の高い店舗をリサーチしてもらい、設計と料理の両面から学びがありそうな「co.flamingo」へ。Instagramでも話題になっていたことも後押しになった。
- 感度の高いユーザーに選ばれている
- 小規模店舗のオペレーション研究に最適
- ナチュールワイン × 小皿イタリアンという現代的構成
デザイン×空間演出|余白と素材感を活かしたミニマル設計
入店前の第一印象
白を基調にしたファサードとオープンな間口が、ふらっと入りやすい雰囲気をつくっている。幅約350〜400mmほどの小さな外向きカウンターが通行人の目を引き、「この小ささで?食べられるの?」という驚きを与える設計。
- 街との境界が曖昧な“余白のデザイン”
- シンプルだけど印象に残る導線
- テラス席というより“路面で飲む”というユニークさ
店内空間の工夫と素材選び
内装はスケルトンを活かしたラフでナチュラルなつくり。白塗装の壁、無骨な天井、木製カウンターという組み合わせが、“作り込みすぎない”心地よさを生んでいる。厨房は完全オープンで、料理人とゲストがアイコンタクトを交わす距離感。
ここで特筆すべきは「素地+白塗装」という内装構成。下地のコンクリートや配管を見せつつも、白でまとめることで統一感と清潔感があり、「お金をかけていないのに、おしゃれに見える」という好例。施工費用は抑えつつも、空間の“意味”はしっかり伝わっている。まさに高コスパ設計。
- 工事コストを抑えた設計(造作最小限)
- オープンキッチンでライブ感を演出
- 白基調+木素材で清潔感と親しみを両立
- 世界観が伝わる=空間の“価値”が伝わっている
プランニングの意図と席構成
カウンターが主役のレイアウト。外席含めると3方向にカウンターが展開しており、スペースを有効に活用している。奥には2〜4名用のテーブル席も少数配置。
- 一人客〜ペア客メインのレイアウト
- カウンター中心の省スペース運営
- オペレーション導線がコンパクトにまとまっている
まとめ(デザイン視点)
- 建築費を抑えつつ、印象的な“街とつながる空間”
- 素地×白塗装の世界観は高コスパ演出
- 小さな空間を最大活用するカウンター重視プラン
オペレーションと顧客体験|狭さを利点に変える発想
厨房オペレーションと接客
厨房から外席まで約4〜5歩という近さ。狭さゆえに無駄のない動線が求められるが、スタッフは慣れた様子。3〜4人でホールとキッチンを回しており、呼吸が合っていた。スタッフ同士のコミュニケーションが密で、料理提供もスムーズ。
- 厨房とホールの連携が直感的に行える距離感
- 外席対応も慣れた動作で自然に対応
- 接客がラフすぎず程よい距離感
お客様の層と過ごし方
客層は30代〜40代のカップル、女性同士が中心。いわゆる“ワイン通”ではなく、「ちょっと洒落た気分で美味しいものをつまみたい」層がメイン。空間のカジュアルさと、料理のセンスの良さがマッチ。
- 店舗コンセプトが顧客層としっかり合っている
- 回転率は高め(満席→二回転目も満席)
- 女性比率が高く、SNS発信力も高そう
メニュー構成と出てきた印象
メニューは小皿中心。シャラティエッリやタルタルのような“映え”メニューが多く、味も見た目もハイセンス。ナチュールワインとの相性も良く、グラスで楽しめる品揃え。
- 小皿×グラスワイン=高単価&高回転戦略
- 仕込み中心のメニュー構成でオペを簡略化
- 盛り付けの工夫で印象アップ、SNS映えも意識
まとめ(オペレーション視点)
- スタッフ3〜4名でも回せる省人化レイアウト
- 高回転・高単価を両立した小皿戦略
- “狭さ”をむしろ武器にした演出と設計
コスト感と設計のバランス|無駄を省き、価値を最大化
設計コストを抑える工夫
- スケルトン活用で内装費用を削減
- 什器も最小限、ペンダントライト数個+白壁
- 塗装・カウンター・厨房機器に集中投資
見た目の印象は良いが、実はローコストで抑えられている。必要最小限の造作で「雰囲気」をつくるデザインは、小規模開業におけるお手本とも言える。
実際の会計と価格感
3名で40,200円。ワインをグラスで複数杯飲んだ結果、少し高くなった印象。料理自体のポーションは小さめだが、満足度は高い。8,000円台が平均のようで、単価コントロールもうまい。
- グラス提供で注文単価の微調整がしやすい
- 原価管理しやすい構成(小皿・冷製多め)
- サービス料はなくても満足感で補える
設計×経営の着眼点
co.flamingoのようなモデルは、初期投資が抑えられ、運営も少人数で成立。高回転を活かして売上をキープしながら、コスパ以上の満足感を演出する空間デザインが効いている。
まとめ(コスト・経営視点)
- スケルトン+造作最小限=初期費用圧縮
- 回転率と客単価で売上最大化
- “オープンで小さい”=設計とオペの一体化成功例
まとめ|設計×飲食体験が一致した恵比寿の好例
co.flamingoは、「空間設計」と「飲食体験」がしっかりと一致した良店です。無駄のない設計と素材選びで“作り込みすぎない美しさ”を表現し、そこに「ナチュラルで洒落たおつまみ」と「軽やかなナチュールワイン」が掛け合わさる。恵比寿という立地で、無理に高級を狙わず、カジュアルに「今っぽさ」を表現できた設計と運営の成功例として、飲食店開業者にはぜひ一度足を運んで感じてほしい店舗です。
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