
現場が図面通りに問題なく進むことはまずありません。いつも現場には何かが潜んでいます。想定外、ということが起きると対処が難しい。ではどうすればいいか?備えることです。
今日は工事始まりの墨出し確認です。
今回の施工の流れは、
・解体
・墨出し
・配管
・木工事(下地)
・電気配線
・木工事(仕上げ・造作)
・仕上げ(塗装)
・仕上げ(壁クロス・床)
・厨房機器・家具搬入
・照明器具取付
・クリーニング
・引渡し
12坪程度のお店で、新築だったので解体も少なく、壁が仕上がっています。そこからのスタートなので、着工から約3週間で完成します。
ここでまず確認するのは、
・壁の位置
・扉の位置、その開き勝手
・席を置いた時の通路幅が図面通りかどうか
それと合わせて
・什器の位置
・棚の高さ
・コンセントの位置
・照明位置
を現場でオーナー、設計、施工、の三者で打ち合わせをしました。この時には、打ち合わせを全員の共通認識にするために設備屋さん、厨房業者さんといったできるだけ沢山の関連業者さんが集まっているのがベストです。
図面をもとに、現場の床に壁を立てる位置が正確に書かれています。
今回の場合は、設計段階では通路がとれているのでOK、と思っていましたが、「椅子を引いた時、少しでも通路が広い方が良い」という現地打ち合わせならではの体感で、袖壁を少し引っ込めました。
もう一つ、防災の総合盤が壁に干渉するために厨房区画の壁を少しずらしました。
それにより厨房区画が広がり、それに伴い客席の通路幅が狭まりましたが、余裕をもって設計していた部分だったので問題にはなりませんでした。
今回は厨房業者さんにも来ていただいたので、厨房機器を含めた設備関連も確定しました。
具体的には以下の確認、指示をします。
・厨房機器が区画内に納まるかどうか
・厨房の通路幅は確保できているか
・適切な位置に給排水の管がくるルートになっているか
・ガスルートが適切な経路で管が適切な位置に出てくるようになっているか
・ガスレンジの上に法規的に適切な高さでフードが設置できるかどうか
設計をするときは物件の現調をして、それをもとに設計をしますが、現調で十分な情報を得られていなかった場合、予想外のことが起きます。
しかし、現場では一分一秒無駄にすることはできません。瞬時にジャッジし、的確な指示をすることが求められます。
経験値がある設計者であれば経験や知識からその判断をすることができます。新人デザイナーがそのジャッジをするには、どうしたらいいと思いますか?
答えは「現場に行く前にできるだけ起こりうるトラブルや事象を想定しておく」です。
全く予想外なことが起きたら即座に対応することは難しいです。ですが、「こういうことがあるかもしれない」という想定をより多く検討して、それに対して解決策を考えてから現場に行くことでスピーディーな対応が可能です。
例えば「あの場所、間柱が邪魔でコンセント入らないかもしれない」といった具合に想定をして、もしだめだった場合の解決策を考えておきます。
また、現場で話すと、「もう少しこうしたほうがいいかも?」という意見が出て、デザインがより良くなっていきます。
今回の場合は、既存の窓枠の内側に古材をまわす予定だったのですが、現場監督さんが正面の見付にも貼ったほうがかっこいいかもしれない、とアイデアをくれました。確かに現物でシミュレーションしてみると、そっちの方が良い!オーナーさんも同じ意見で、デザインが確定しました。(スケッチ)
設計変更はオーナー確認をとり、それを施工に伝える(伝える資料を作らなくてはなりません:リンク)、という流れになりますが、今回のように現場に集まって意思疎通し、確定するため、スムーズです。
ということで、現場がスタートしました!実は、現場がスタートする頃には、かなり想定して検討しなくてはいけないのです。みなさんと学びながら、ひとつひとつ着実に完成に向けて頑張りますので、ご意見ください。
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