アルコール離れする飲食業界のこれからを考える

夜業態の飲食店は厳しくなる?!コロナによって変化が加速する外食産業

外食産業はそもそも低価格化、競争の激化、差別化が進んでいました。それに追い打ちを掛けるように、コロナによりリモートワークが進み、家での食事が進み、スーパーやコンビニ、弁当屋などの中食産業が更に勢力を増してきています。その中で今後の夜業態はどのように変わるべきか?変わっていくのか?を考えていきたいと思います。

まずは、夜業態である居酒屋、バー、イタリアン、フレンチなどの専門料理店で、どのような社会的な状況になっているのでしょうか?

一番大きな流れとして「アルコール離れ」。この問題に注目することで、これからの飲食店ブランド企画へつながると考えています。

若者のビール離れ、アルコール離れはなぜ起きているのか?

ビールを販売している4社の発表によると、2019年のビール系飲料の販売実績は計38458万ケース。前年比で1.4%減となり、15年連続で減少しています。その代わりノンアルコール飲料が成長しつつあり、一見その対極にあるストロング系のRTD(レディ・トゥ・ドリンク=サワー等のカクテル缶飲料)も伸びているようです。

若い世代の低所得層の増大

経済の低下に伴い、非正規雇用も増えています。それに伴い若い世代では低所得化が進んでいます。それにより出費が高い居酒屋は敬遠されるようになってきています。

勤務先などでの付き合いやノミュニケーションが激減

今やSNSで親しい人と常に繋がっているため、会社の仲間や学校の仲間と飲みに行くという形は大きく減ってきています。よって、会社の飲み会に行きたくない若者は、気軽なオンライン飲み会へ流れていくのかもしれません。

健康志向

酒は体に良くないという健康志向も大きく影を落としています。飲酒習慣のデータを見ますと、男性は全体的に減っています。特に2030代は飲む習慣が半減しています。逆に女性の4050代は増加に転じています。(厚生労働省「国民健康・栄養調査」2016年)。しかし、女性は男性に比べてそもそも少ないです。ここからわかるのは、日常的にお酒は飲まなくなってきているということです。もしかしたら、酒の味を楽しむのではなく、飲む場面、飲む意味が重要視されている傾向にあるのかもしれません。

報道によるマインドの変化

一気飲みなどの飲酒事故報道、大学の学園祭行事などの場での禁酒、飲酒運転による社会的地位喪失などメディアからの影響が大きく影響しています。「お酒はリスクがある!」「いけない飲み物!」などといったお酒を飲む事自体が、ネガティブなイメージを受けやすい環境になっています。「そんなリスクあるなら飲まなくてもいいかな、、、」と思ってしまいますよね。

味の嗜好の変化

「飲めない訳ではないのに飲まない」「美味しいものは食べたい!」食の嗜好はより新しいもの、美味しいものは多様化しています。単純に食べ物も飲み物も美味しいものは食べるし飲む!という嗜好になってきています。ビールはのどごしで飲む!という感覚から、苦いビールよりさっぱりした美味しい飲み物が飲みたいという感覚です。

働く環境の変化

アルコールは嫌なことがあった時に飲む。眠れない時に飲む。などの精神の安定させるために飲んでいた傾向がありました。しかし、働き方改革によって、長時間労働が減り、ブラック企業が減ってきています。また、一人で悩んでいた時代からSNSで色んな人と会話ができるようになり、ストレスも軽減しています。これにより、アルコールに依存しなくなってきています。

日常と非日常の二極化(食事するための飲食店とイベントのための飲食店)

これからの飲食店に入るシーンを考えてみます。

友人と食事をするとき

やはり集まりやすい駅が第一候補となります。食事ではなく、ZOOMLINEでのオンライン飲み会も候補に入ります。その際は飲食店は使われません。集まりやすい駅が、必ずしも新宿や渋谷のような人が多く集まる場所でなくても良いと考える傾向が強くなるはずです。高校があった駅、メンバーの一人が住んでいる最寄り駅、集まりやすい路線が重なっている駅が候補になります。出店計画の際の物件選びに役立ちます。

取引先との会食

これは立地が今まで通り良い場所、クオリティーの高い飲食店が選ばれます。

恋人とデートで食事をするとき

景色が良い場所、デートスポットがある最寄り駅など今までと選ばれる飲食店は変わらないかもしれません。

仕事帰りに一人で食べるとき

ラーメン屋や牛丼、定食屋などが選ばれます。これは家での中食と今まで通り競合します。

食事するための飲食店とイベントのための飲食店

上記から考えますと、毎日食べても良い日常食は低価格帯へ、記念日デートや接待などのイベントでの会食は高価格帯へ移行します。問題は中間レンジの価格帯です。30006000円くらいの客単価です。一番店舗が多い客単価ですが、この層のターゲットが難しそうです。逆にここに新たなビジネスモデルが生まれると発展しやすいのかもしれません。

今の要望に合わせた新しい飲食店

ミレニアム世代が集まるお酒を出さない飲食店

ミレニアル世代の間で話題となっているのが「sobriety(ソベルティー)」。ソベルティーとは、完全な禁酒ではなく、健康面や様々な理由からお酒などを「基本的には取らない、ごく稀に楽しむ」といった考え方です。

アメリカのブルックリンでは、お酒を出さないバー「Getaway(ゲッタウェイ)」がにぎわっているようです。このバーのメニューはココナッツやアップル&オレンジといったミックスドリンク、コーヒー、お茶などだ。雰囲気はカフェバルのようなおしゃれな雰囲気です。「私たちは人々が求めている、アルコールいらずの交流の場を提供しています」という目標を掲げており、メニューを見てみると、ワインやビールもあるがアルコールはゼロ。雰囲気もカウンター席があり、バーテンダーがシェイカーを振る様子はいかにもバーそのものだが、出されるドリンクのアルコール度数はどれも0%。高い健康効果が期待できる飲み物としてウェルネス産業で話題になっているようです。

健康志向の人が集まる飲食店

「タニタ食堂」ビジネスの中心地、「丸の内から日本を元気にしていきたい」という思いから2012年に丸の内タニタ食堂がオープン。毎日のヘルシーなお食事、体組成計の計測、健康情報を発信していくイベントを通して食の健康を再認識していただくことができます。プロフェッショナル仕様体組成計を備えたカウンセリングルームでは、管理栄養士から無料でアドバイスを受けることが出来るとのことです。

また、ロートレシピで毎日のカラダを元気に!をコンセプトにしている「旬穀旬菜」ロート製薬の直営農場や提携農家から届く旬の食材を生かし、栄養価の高い食材の働きや野菜の効用に注目したメニューを楽しめるようです。

この2つの事例ように健康志向の飲食店は今後重宝されるはずです。医療などの他業界とのコラボによって新たな価値のある飲食店が今後は必要になりそうです。

これから考えなくてはいけないのは?

今まで、アルコール離れや健康志向について書きましたが、それだけではなく、より純粋に市場の意見を聞く必要が出てきたという話なのです。ただ、今まで通りの居酒屋やバーなどを作るのではなく、新たなニーズを取り入れたお店づくるをすべきということです。

例えば、

  • 夜の食事=飲みに行くではなく、食べに行くディナーを考えなくてはいけません。
  • アルコールを飲みたい人と飲みたくない人の混在時代へマッチするお店作り
  • 今までは酒の味ではなく、飲む場面、飲む意味が重要なこともある
  • おつまみが好きだけど、飲めない女性のためのお店
  • 居酒屋の雰囲気が好きだけど、飲みたくない人のためのお店

などなど様々なのです。その価値提供こそが今後の外食産業を盛り上げてくれると信じています。

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