新しい飲食店業態づくりのための「費用便益分析」という考え方

費用便益分析とは?

費用便益分析とは、ものの価値をそれを手に入れて使用する為の費用と、そこから得られる利益との比較によって分析する方法です。

要するに飲食店の空間デザインの分野では、予約したり、店への来店した労力と食事をした費用があります。それに対して、来店されたお客様が得られた空間体験や便利さ、一緒に連れて行った相手がそれによって喜んでくれたことで得られた利益との比較するということです。

ここでいう費用(コスト)というのは、

  • 身体的コスト(労力)
  • 感情的コスト(不便さ)
  • 社会的コスト(ステータス)

この3つのコストも実際の金銭的コストに付加されます。

一つのデザインをめぐって発生する費用が、利益(便益)をうわまるのであれば、良いデザインですし、逆に費用が利益(便益)を上まっていれば、そのデザインは失格となります。

ただし、この費用便益分析は、費用と利益のみでデザインの最終決定してはいけません。一つのアイデア出しのツールとして使うべきです。

では具体的に考えてみると、、、

この考えから何が生まれるのか?

顧客の視点に立った利益と費用を比較するので、新しい発見が生まれることを期待しています。

まず基本的な飲食店舗空間の利益と費用は、

お客様の空間的な利益は

・インテリアデザインがとても素敵であること
・景色が素晴らしいこと
・アクセスが良いこと
・トイレのアメニティに気を配られていること
・香りにまで具配りができていること
・厨房のシズル感があること
・オーダー受けや提供が素早いこと(オペレーション設計がしっかりされていること)

それに対しての費用は

・食事の費用
・店舗まで行く労力
・お店を見つけて予約を取る手間
・自分で動いて食事をとりにいく

街のお定食屋で考えると、、、

アクセスが良いこと+オーダー受けや提供が素早いこと > 食事の費用+お店を見つけて予約を取る手間

この場合、費用が最小限度に抑えられている為、付加価値がなくてもお客様は来店されるということになります。

デートスポットや観光地にあるレストランで考えると、、、

景色が素晴らしいこと+厨房のシズル感があること > 食事の費用+店舗まで行く労力+お店を見つけて予約を取る手間

遠方である為、行くまで大変ですが、それに見合った普段見れない景色やそこでしか食べられない料理が加点されれば、多少費用が高くても満足感を得ることができます。

都心部の高級レストランで考えると、、、

インテリアデザインがとても素敵であること+アクセスが良いこと+香りにまで具配りができていること+トイレのアメニティに気を配られていること > 食事の費用

サービスが充実してして、細やかな配慮がされている場合は、その分、高価格帯であっても満足できます。

これからの業態開発で考えてみると、、、

そして新たな業態開発をする場合は、このお客様の利益と費用自体の見直しを図ることで、新たな価値を提供できることになります。

例えば、無人化したレストランでは何が必要になってる来るのでしょうか?

利益
・スタッフを呼ばないでも自分の好きな時に好きな物を注文できる
・イベント性を高め、食事以外の楽しみを作る
・支払いをキャッシュレス化し手間を削減する
費用
・食事の費用
・ちょっと聞きたい時に人がいない

ファミレス的な居酒屋、カジュアルな洋食店舗

利益
・子供が騒いでも気を使わなくても良い
・子供が遊ぶスペースがある
・食事でも飲んでも良い雰囲気
・家の近くにある

費用
・食事の費用
・席が取りづらい(長居する人が多いことを想定)

このようにお客様視点での利益と費用を比べながら、利益を多くし、費用を下げることで多くのお客様がメリットを感じてくれます。また、食事の費用以外の費用を落としていけば、必然的に店舗売上が上がっていくことになります。

まとめ

新しい業態開発でのアイデアを出やすくするには、

顧客視点となり、利益と費用を分割して考えてみます。

利益とは、お客様が得られるもの

費用は、金銭的コスト、身体的コスト、感情的コスト、社会的コスト

利益ー費用=最大化を考えることが、新しい飲食店業態をうまれることになります。

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